2022年2月4日発売の「日経トレンディ 2022年3月号」では、「得する相続」を特集。相続財産が基礎控除額を超えて相続税が発生するかどうか、早めに親の財産の棚卸しをしたい。土地や家、金融商品など資産価値が高そうなものは思いつきやすいが、預貯金が入ったまま放置している金融機関の口座は見落としがちな“隠れ財産”。明らかに基礎控除額の範囲を超えそうな人は、節税対策を検討した方が安心だ。
※日経トレンディ2022年3月号の記事の一部を掲載。詳しくは本誌を参照

相続税の計算方法をするうえで、相続財産が基礎控除額を超えて相続税が発生するケースはそう多くない。自分の場合はどうなるかを確認するために、親の財産の棚卸しから始めよう。基礎控除額を超えることが分かった場合は、財産の規模や種類によって変わる節税対策に早く取り組める。
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親の財産のうち、土地や家、金融商品など資産価値が高そうなものは思いつきやすい。一方、見落としがちなのが“隠れ財産”だ。預貯金が入ったまま放置、そんな金融機関の口座は典型例。「口座に100万円があることを、開設した親も忘れているケースはざらにある」(ベンチャーサポート相続税理士法人代表の古尾谷裕昭氏)。過去に親が転勤などで今とは違う場所に住んでいた場合は、特に気を付けよう。当時の自宅の近くにある金融機関で開いたままの口座があるかもしれない。親の記憶が曖昧なら、心当たりがある金融機関への問い合わせを手伝うといい。
名義人の名前は子供だが、当人は存在を知らない、あるいは知っていても、実際は親が管理している名義預金があったり、子供の生命保険の保険料を親が負担していたりする場合も要注意。親心による子供名義の資産づくりは世間でよくあるケースだが、「親の財産と見なされて相続税の課税対象となる」(ベンチャーサポート相続税理士法人の税理士、三ツ本純氏)。
棚卸しが一通り終わったら、それぞれの価値を大まかに算出する。なお、実際の相続では、財産の価値は相続が発生した日(親が亡くなった日)を基に決めるのが原則。取得価格ではない。例えば上場株式の価値は、相続発生日の終値や当該月の毎日の平均終値など、4つの価額で最も低いものになる。
値打ちがありそうな絵画や掛け軸、あるいはレアもののコレクターズアイテムなどがある場合、親が購入価格を覚えていたり、買ったときの領収書を保管していたりしても評価額とすることはできない。専門家に評価額を鑑定してもらう必要がある。それが難しければ、せめて買い取り業者による見積もりは取っておきたい。なお家具や家電は中古扱いになるので、「1つ当たり5万円以下になるケースが大半。まとめて10万円から数十万円程度の価値としておけば十分だろう」(相続税還付に詳しい税理士、佐藤和基氏)。
一見難しそうに思える土地の見積もりも、基本はシンプルだ。土地は路線価方式か倍率方式で算出し(詳細は次ページ)、そこに立つ家の価値は固定資産税評価額と同じになる。この考え方は分譲マンションにも基本的に当てはまる。こうして合計を概算で出せば、基礎控除額の範囲に収まるかどうかの目安がつく。「明らかに基礎控除額の範囲に収まる」という人以外は、節税対策を検討した方が安心だ。
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