
日経クロストレンドが実施したマーケティングツールの調査 ▼関連記事:発表! マーケツール利用調査 CRMやMAはセールスフォースが圧倒 で、CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)ツールはセールスフォース・ジャパン(東京・千代田)の利用比率が高かった。日本ピザハット(横浜市)は2018年からセールスフォースのMAを導入。フォローメールの効果で注文件数が1.4倍になるなどの成果につなげている。
1年の中でわずか2~3回。一般的な消費者が宅配ピザを食べる平均回数のことである。店内で食べるのではなく、宅配が主体となるフードデリバリーサービスの先駆けとして30年以上にわたり浸透し、テレビCMなどで認知度も高い。それでも「1年の中で誕生日やクリスマスと年2~3回、ハレの日に利用してもらうことが多い」(日本ピザハットマーケティング部デジタルマーケティング課の重兼槙夫氏)という状況が続いている。毎月注文する人はロイヤル客であるという。
競合もひしめく中で、年2~3回という限定されたパイを奪い合うビジネスとなる。「ピザを買いたい」という需要を捉え、早期のタイミングで手を打つ。本人や家族の誕生日のほか、クリスマスなどの季節性のイベントを見越してクーポンなどを届け、「ピザならピザハットだ」と想起させることが重要になる。
外部やIT部門への依頼でメール配信に手間と時間
かつては、紙のはがきによる「○%引き」と大きく書いたクーポンの配布がマーケティング施策の主軸だった。そうした中、日本ピザハット(以下、ピザハット)は、約10年前からメール配信を強化した。ある国内企業のメール配信ツールを使い、独自に構築したCRMのシステムと連携させてきた。
当時の課題は「1回メールを送るごとに手間と時間がかかり、PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクルを早く回せない」(重兼氏)ことだった。例えば、一定の年齢層のみに送りたいといった新しい配信セグメントをつくるときには、外部のシステム会社とピザハットのIT部門へリスト抽出の依頼をする必要があった。
メールのHTML(Webサイトの制作に使われる言語)を手動で編集し、問題なく表示できるかをチェックする必要もあった。これらの手間が積み重なり、メール1本を送るため、作業に最短で2日ほどかかっていた。メールのタイトルやコンテンツ内容を検証するためのABテストも頻繁に実施しづらい状況だった。
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