SNS時代の「メルマガ」新常識 第1回

Instagram、TikTokといった、新しいSNSや動画共有サービスを活用したマーケティングが花盛りだ。そんな陰で、「オワコン」と言われることもあるのがメルマガなどのメールを活用したマーケティング。だが、実は今、消費者とほどよい距離感が保てると、価値を再発見する動きが出ている。SNS全盛時代のメールマーケティングに迫る本特集、第1回と第2回では、ありがちな誤解を専門家とひもときながら、新しい活用法のヒントを探る。

コミュニケーションの主要ツールはSNSへと移行しつつあるとみられるが、実はマーケティングツールとしては健在だ(画像/Shutterstock)
コミュニケーションの主要ツールはSNSへと移行しつつあるとみられるが、実はマーケティングツールとしては健在だ(画像/Shutterstock)

 「メルマガは古い」「メールなんて誰も読んでない」。マーケティングにおいて、メールでのコミュニケーションは、レガシーなものとして語られることが多い。「LINE」「Twitter」などのSNSの隆盛、さらには「TikTok」「YouTube」などの動画共有サービスの台頭など、新しいツールのマーケティング活用は大きく広がっている。

 だが、総務省による「令和2年通信利用動向調査」によれば、インターネットの利用目的・用途(個人)で依然として最も高い数値を記録しているのが「電子メールの送受信」であり、その割合は約78%にもなる。若い世代でも比較的高い水準を維持しているのは驚きだ。メールはいまだ、生活動線に入っている。

 もちろん、友人間などのコミュニケーションにおいては、LINEなどにその座が奪われている面はあるだろう。メールへの依存度、メールの位置づけが変わってきているのは間違いない。本特集では、SNS全盛時代における、メルマガをはじめとしたメールマーケティングの新常識に迫る。

メールが「オワコン」じゃない理由

 SNSのマーケ活用が強くうたわれる昨今においても、実はメールを活用したマーケティングはいまだ進化している。最も定番の使い方は、いわゆるメルマガ(メールマガジン)。企業やウェブサイトの運営者などから、複数の購読希望者に一斉配信するメールのことで、企業側が主体となって情報を伝達したり、誘客したり、購買を促したりする手法としてよく知られている。どちらかというと、情報を届けることが主な目的となる。

 ただ、メルマガはメールマーケティングの一つでしかない。メールマーケティングはどんどん細分化してきており、ウェブへの来訪といった消費者のアクションを収集・分析し、メールで案内を送るといったリターゲティングや、休眠ユーザーにアクションを促すメール、ユーザーが資料請求や購入した日を起点として複数のメールを順々に送るステップメールなど、多数ある。MA(マーケティングオートメーション)ツールの高度化によって、メールマーケティングも急速に進化し、メールマーケティング関連の市場規模はいまだ成長を続けている。

 だが、高度化しているとはいえ、レガシーな“古い定石”がまかり通っていると語る専門家は少なくない。そこで今回は、メールマーケティングについて定量的・定性的に調査を行ったマーケティング支援企業WACUL(ワカル)の取締役である垣内勇威氏と、メールマーケティングサービス「配配メール」を展開するラクス配配メール事業部長の安藤健作氏と共に、古い定石や誤解を破壊していく。

メールマーケティングであるあるな「6つの誤解」とは

 よくありがちな誤解を6つ以下に挙げた。今回はこの誤解を解きつつ、メールマーケティングの効果を高めるヒントを説明していきたい。

【メルマガ、メールマーケティングのありがちな6つの誤解】

誤解① 頻度を高くすると、嫌がられて解除される
誤解② 送るタイミングを吟味して、読まれるときに送る
誤解③ いいコンテンツをつくれば、読んでもらえる
誤解④ 配信リストは多いほうがいい!
誤解⑤ ターゲティングは細かくしたほうがいい
誤解⑥ 気づいてもらうために、目立つタイトルにしたほうがいい

【誤解1】頻度を高くすると、嫌がられて解除される

 「これは最もよくある誤解の一つ」と、WACULの垣内氏は指摘する。1人に対してたくさんメールを送ると、しつこいと思われ、解約されてしまうのではないか、という心配をする人が少なくないだろう。だが、実際、垣内氏と安藤氏が共同で調査したデータを見るとこの心配が杞憂(きゆう)であることが分かる。

 ラクスが保有する318アカウントの約2.5万件のメール配信データを分析したところ、メルマガに関する各指標は以下のような結果になった。

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