自動車大国である米国で、「歩行者ファースト」の道路改革が進んでいる。歩行者や自転車の専用道路を拡大し、路上駐車空間にオープンレストランが出店。米国の西海岸をリポートした前回に続き、ワシントンDCやニューヨークで見た米国モビリティ革命の現在地をモビリティデザイナーの牧村和彦氏がリポートする。
2023年1月にワシントンDCを訪れた際、Uberテクノロジーズのアプリから配車依頼をしてみると、15種類もの移動手段が表示されたことに驚かされた。日本の都市部でもなじみあるメニューもあるが、大半は初めてみるものばかりだ。「6人同乗可」「ペット同乗可」「チャイルドシート付き」「車椅子対応」「足元が広いタイプ」「ラグジュアリータイプ」など、多種多様な移動ニーズに対応している。
Uberは現地で「交通ネットワークカンパニー(TNC)」と呼ばれていることからも分かるように、Uberの配車アプリから地域と連携している電動自転車や電動キックスクーターのシェアリングサービスも利用できる。新たに専用アプリをダウンロードしなくても、Uberのプラットフォームから予約決済が可能で、とても便利だ。
ニューヨークでは配車サービス限定の「混雑課金」も実施
さらには「Uber Green(ウーバーグリーン)」というEV(電気自動車)やハイブリッド車などの車両を配車するサービスも用意している。同社は2040年までにCO2(二酸化炭素)排出ゼロのプラットフォームになる目標を掲げており、その一環で欧州からスタートしたのがUber Greenだ。
Uber Greenは乗客にエコな車両利用を推奨しつつ、ドライバー側も1乗車当たりインセンティブが付与される仕組みを導入している点が特徴。乗客はUber Greenを選択した場合に1ドルの追加料金を支払い、ドライバー側はEV車両なら1.5ドルの追加報酬をUber側から受け取れる。気候危機対策への参加を利用者とドライバー双方に促す仕掛けで、利用時に移動手段のラインアップを見た瞬間、「Green」という文字と緑の色に思わず選択したくなったものだ。
Uberはダイナミックプライシングを採用していることから、日々料金が変動し、時間帯などでも料金が変わる。日本でも飛行機の予約やホテルの予約などで経験している感覚とほぼ同じと言っていい。アプリでは、「利用者増加のため、料金が若干高くなっています」と日本語で表示された。
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