2019年2月、独メルセデスベンツグループ(旧ダイムラー)と独BMWがカーシェアリングや配車サービス、電気自動車(EV)の充電サービスなど、5つの分野で共同出資会社を設立してから約3年が経過した。今では欧州有数のMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)プラットフォームとして急成長を遂げる。その理由とは?

FREE NOWは配車サービスのアプリを提供。現在は電動キックスケーターなど、複数のモビリティの情報を統合したMaaSプラットフォームに発展している(写真/FREE NOW)
FREE NOWは配車サービスのアプリを提供。現在は電動キックスケーターなど、複数のモビリティの情報を統合したMaaSプラットフォームに発展している(写真/FREE NOW)
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 2019年に設立されたメルセデスベンツグループ(旧ダイムラー)とBMWの共同出資会社は、カーシェアリングの「SHARE NOW(シェアナウ)」、配車サービスの「FREE NOW(フリーナウ)」、複数の交通手段をつなげる移動サービス「REACH NOW(リーチナウ)」、駐車場サービスの「PARK NOW(パークナウ)」、電気自動車(EV)充電サービスの「CHARGE NOW(チャージナウ)」の5つだ。10億ユーロ(約1350億円)以上を投資する計画を掲げ、自動車メーカー主導でモビリティサービス分野でも覇権を狙うビッグニュースだった。

 FREE NOWは、もともと欧州で展開されていた配車サービス「MyTaxi(マイタクシー)」のほか、「Chauffeur Privé」「Clever Taxi(クレバータクシー)」などのタクシー事業、ハイヤーサービスなどが19年に統合され、誕生したブランドだ。

 「NOW」アプリから登録ドライバーの車両を呼び出し、設定した目的地まで移動できる。競合サービスは、欧州でも展開している米ウーバーテクノロジーズや米Lyft(リフト)だ。

NOWアプリでタクシーなどを呼び出すことができる(写真/FREE NOW)
NOWアプリでタクシーなどを呼び出すことができる(写真/FREE NOW)
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 FREE NOW事業スタート当時の利用者は年間2500万人、登録するドライバーは25万人。リブランディングは順調に進み、新型コロナウイルス禍前ではあるが、19年度決算で早くも黒字化を果たしたことで業界を驚かせた。その後、20年8月には新たにロンドンでの営業免許を取得し、欧州各地でウーバーなどとの熾烈な闘いを繰り広げてきた。

 そして21年の年間輸送人員は5400万人に達し、21年9月にはコロナ禍前の水準に回復。僅か2年で利用者が倍増したことになる。また、21年はアプリが1時間当たり285ダウンロードされたといい、コロナ禍においても日々利用者が増加していることがうかがえる。登録しているドライバーも130万人を超え、16カ国、170都市でサービスを展開している。

 FREE NOWと同様に、スマートフォンで車両を呼び出すデマンド交通やタクシー配車サービスが登場しているにもかかわらず、なかなか本格普及に至らない日本とは雲泥の差がある。なぜ、FREE NOWは急成長を果たせたのか。

鍵はモビリティの「スーパーアプリ化」

 急成長の鍵は、複数のモビリティサービスを統合したスーパーアプリ化が劇的に進んだことにある。実は、現在のFREE NOWは配車サービスの概念を超え、カーシェアリング、電動アシスト自転車、電動バイク、電動キックスケーターのシェアリングなどもアプリから利用可能。まさに、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)を体現している存在だ。

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