LiSAロングインタビュー後編では、新アルバム『LANDER』のために作られた新曲『NEW ME』をはじめ、具体的な作り方を聞いていく。

りさ 岐阜県出身。2011年4月にミニアルバム『Letters to U』でメジャーデビュー。『劇場版「鬼滅の刃」無縁列車編』の主題歌として2020年10月に発売した17thシングル『炎』で第62回日本レコード大賞を受賞。19年から3年連続で『NHK紅白歌合戦』に出場している。多くのアニメ音楽を担当し幅広い支持を得ている一方、ロックフェスにも多数参加するロックアーティストとしても存在感を増している(写真/上野裕二)
りさ 岐阜県出身。2011年4月にミニアルバム『Letters to U』でメジャーデビュー。『劇場版「鬼滅の刃」無縁列車編』の主題歌として2020年10月に発売した17thシングル『炎』で第62回日本レコード大賞を受賞。19年から3年連続で『NHK紅白歌合戦』に出場している。多くのアニメ音楽を担当し幅広い支持を得ている一方、ロックフェスにも多数参加するロックアーティストとしても存在感を増している(写真/上野裕二)
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――アルバム『LANDER』のための新曲は「自由に、好きなように、好きな人たちと作っていった」というLiSA。実際にはどう作っていったのだろうか。

 “新しくたどり着いた世界”で作った『NEW ME』の歌詞で、「誇れるものをひとつ持って旅を続けよう」と言っているんですけど、それは私にとっては「やっぱりロックだな」って思ったんですよね。自分の好きなロック、ピアノロックやギターロックを主軸とした楽曲を作っていき、そこに素直に言葉を乗せていったらすらすらと歌詞が書けていって。特に『dis/connect』(3曲目、M3)ができたときには、「あっ、私ストレスたまってたんだな」と思い知りました(笑)。もっと何かやりたい、表現したいと心から思ったんですね。

 タイアップ楽曲で自分がやれることを勉強させていただいてきたから、自由度が増したというか。今は、やりたいことややれることが増えたような感覚があります。だからこそ、『シャンプーソング』(M4)のようなロックンロールから、作編曲の伊澤一葉さんのピアノをベースに制作した『逃飛行』(M8)まで、ものすごく幅の広いラインアップになりました。

 曲作りの過程で、「人が演奏している姿が見えるような楽曲が私は好きだな」と改めて感じて、そういう姿が見えるような、温度が伝わるような楽曲を意識してアルバム制作を進めていきました。

 歌詞だけでなくサウンドにも同じことが言えます。新型コロナウイルス禍でライブが少なくなってオンラインでもすごくいいけれど、やっぱり人が目の前で汗をかいたり、葛藤したり喜んだり、というライブ。歌うライブだけでなく、生きているなかでのライブが本当に大好きだなって改めて感じています。

――人が演奏している姿が見えるような楽曲制作は、もともと想定してたものではなく、自然とLiSAからあふれたものだったという。

 すごく意識していたわけではないんですけど、1曲1曲作っていくなかで、みなさんにそう伝えていたような気がします。

 例えば尊敬するミュージシャンの1人、伊澤一葉さんにも、「伊澤さんのピアノと歌だけでも成立するくらい、(ピアノを)弾き倒してください」ってお願いしたんですよ(笑)。それで完成したのが『逃避行』。梶浦由紀さんもですが、梶浦さんのピアノを弾かれている姿がすごく浮かぶんですよね。それを多分、知らないうちにお伝えしていたような気がします。

 『逃避行』は本当にいろいろな音が重なり合っているんですけど、全部生音なんです。演者たちが生で演奏している姿のなかで、私も生で様々な声色で歌を歌っていて。なので、人のすごさじゃないですけど、人力感というか。「人のパワー」をこのアルバムから感じてもらえるといいなと思っています。

LiSAにとって2年ぶりとなる6thアルバム。ロックヒロインの異名を持つLiSAらしいロックが詰まった1枚だ。11月16日(水)リリース。通常盤3300円(税込み、右下)のほか、完全数量限定盤や初回限定盤A・同Bも発売/SACRA MUSIC
『LANDER』
LiSAにとって2年ぶりとなる6thアルバム。ロックヒロインの異名を持つLiSAらしいロックが詰まった1枚だ。11月16日(水)リリース。通常盤3300円(税込み、右下)のほか、完全数量限定盤や初回限定盤A・同Bも発売/SACRA MUSIC
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バラエティ豊かなロックチューン

――バンドサウンドのなかにもピアノが繊細に鳴り、狂気的なひりひり感が心地いい『dis/connect』、長年ロックンロールを貫くバンド、a flood of circleの佐々木亮介の作詞・作曲による『シャンプーソング』、クラシカルなメロディーと雰囲気を持ちながらもポップスらしい『逃避行』。

さらに「大人になった自分が等身大で歌える、頑張る働く女性、頑張る女性、頑張りたい女性、頑張りたい人たちに向けた『HADASHi NO STEP』を含めた3部作になっている」というポップな『シフクノトキ』(M10)、『土曜日のわたしたちは』(M11)。そして、最後の最後に速い曲を歌いたくなって急きょ作ったという『悪女のオキテ』(M12)と、新曲もバラエティ豊かなラインアップがそろった。

 『シャンプーソング』は、作詞も佐々木さんにお願いしています。これまでは自分で作詞をすることが多かったのですが、梶浦さんとの『明け星』もそうですが、この10年で、他の方のワードであっても、歌い手としてちゃんとそこに自分自身を込められる自信がついてきて、そのなかで挑戦させてもらえることが楽しくなってきたので、「今回も自分がどんな表現に挑戦できるかな」と、すごく楽しみながら作らせていただきました。

 そうしたら、「冷やし中華」とか自分では書かないようなワードがたくさん出てきて(笑)。サビの頭にちゃんときゅんとくるワードを入れるとか、佐々木さんのテクニックもすごく効いた曲になりました。

曲順にもLiSAのこだわりが詰まっている

 曲を作るよりも(曲の並びに)時間をかけた気がしますね(笑)。ライブのセットリストも、どの作業よりも早く始めたのに最後に決まるんですよ。そのくらい曲順だけで全体的なアルバムの色や物語性が変わっていくような気がしているので、「誰になんと言われても進むんだ!」みたいな(笑)、そういう葛藤も含めて今の自分の気持ちにぴったりな『往け』から始まり、最後には前を向いて進んでいけるような、みんなが期待してくれるような終わりになるといいなと思って、『NEW ME』をラスト14曲目に配置しています。シングルの曲たちもアルバムのなかで聴くと改めていい曲だなあって、また違った良さを感じてもらえたらうれしいです。

 すごく素直に作ることができた『LANDER』。そして、私自身が大きく変わった世界を、未来をみんなと進んでいく――これからがわくわくするアルバムになっていると思います。

丁寧に、全力で駆け抜ける

――10月からはNetflixで10周年を追ったドキュメンタリー『LiSA Another Great Day』と4月の日本武道館ライブ『LiVE is Smile Always~Eve&Birth~「the Birth」at NIPPON BUDOKAN』を配信。11月16日に6thアルバム『LANDER』を発売し、この秋は『一斉ノ喝采』で世界が注目する「FIFAワールドカップ カタール2022」を盛り上げる。既に次へ向け動き出しているLiSAだが、2022年はどんな1年だったのだろうか。

11月4日に『一斉ノ喝采』、11月16日には梶浦由記のピアノとの共演で『明け星』をパフォーマンスする姿を「THE FIRST TAKE」で公開。「『明け星』では梶浦さんと2人で楽曲を表現したのでまた新たな顔が見られると思います。梶浦さんとの本気のぶつかり合いを感じていただけたらうれしいです(笑)」(LiSA)
11月4日に『一斉ノ喝采』、11月16日には梶浦由記のピアノとの共演で『明け星』をパフォーマンスする姿を「THE FIRST TAKE」で公開。「『明け星』では梶浦さんと2人で楽曲を表現したのでまた新たな顔が見られると思います。梶浦さんとの本気のぶつかり合いを感じていただけたらうれしいです(笑)」(LiSA)
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 改めて自分自身や楽曲とすごく向き合った1年になりました。これまでの10年は「とにかく走り続けなきゃ!」って無我夢中で全力疾走していた感覚だったんですけど、今はこの『LANDER』のアルバムに集中するなど、1つひとつの場面をより大切にできるようになりました。それを持ったうえでまた駆け抜け始めますので、期待していてください。

 やりたいことがたくさんあるというか……あの、こんなこというとお祝いばっかりなんですが、15周年が待っているので(笑)。今12年目なのですぐにきちゃうんですよ。だから15周年こそ『一斉ノ喝采』が本当にみんなとできるような世界になっているといいなって。コロナ禍で自分自身の活動が止まってしまった感覚がやっぱりあったので、この変わってしまった新しいプラネットで始まった1年をきちんとまた一歩一歩踏みしめながら、15周年のお祝いができるように。もう少し自分と向き合う時間も大事にしながら1曲1曲作っていけたらいいなと思ってますし、来年のライブツアーにも挑んでいきたいですね。

 間違いなく新しい始まりが、世界にも私にも始まっているような感覚はあるので、ここで作っていける新しい未来をみんなと過ごしていきたいなと思っています。

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