※NIKKEI STYLE 2022年3月22日公開記事を転載

2022年2月まで放送されていた『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』のオープニングテーマ『残響散歌』とエンディングテーマ『朝が来る』を歌った歌手のAimer(エメ)。21年12月リリースの『残響散歌』は、Billboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で7週連続、通算9度の1位を獲得。Billboard JAPAN史上5番目の速さでストリーミング1億再生を突破するなど、大ヒットとなった。同アニメのエンディングテーマ『朝が来る』もストリーミング、ダウンロードともに好調で、両曲を収録したCDシングルもオリコン週間ランキング1位(1月24日付)を記録している。

Aimer
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 この結果に「ただただうれしくて、とっても光栄な気持ちです」と話すAimerだが、現在の状況をどう感じているのか。

 「『残響散歌』は、私が在籍している事務所でもあり、クリエイターの集合体でもあるagehaspringsのプロデューサー玉井健二さんと、作曲はずっと曲を書いていただいている飛内将大さんという、いつものチームで制作した楽曲。『朝が来る』は今まで何回もご一緒して本当に尊敬している梶浦由記さん(※)に再び作詞・作曲・プロデュースしていただいた曲で、それぞれ思い入れがある楽曲です。[※梶浦由記は、以前、Aimerの『花の唄』『I beg you』『春はゆく』などで作曲・プロデュースを担当した]

 オープニングテーマ・エンディングテーマを任せていただけることになってから、ただひたすらチームで一生懸命ここしか見ずに制作に励んでいたので、反響をいただいてとてもうれしいですし、特に原作ファンの方、もともと『鬼滅の刃』を好きでいらっしゃる方に受け入れてもらえたように感じられて本当にホッとしています」

『残響散歌』のビルボードの7週連続の首位獲得は、星野源『恋』と並ぶ歴代1位。写真左は完全生産限定盤/アナログ盤、右は初回生産限定盤(SACRA MUSIC) (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
『残響散歌』のビルボードの7週連続の首位獲得は、星野源『恋』と並ぶ歴代1位。写真左は完全生産限定盤/アナログ盤、右は初回生産限定盤(SACRA MUSIC) (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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『残響散歌』は疾走感が映像ともマッチ

 「作品の楽曲を任せていただいたときは、オープニングだったらその作品を象徴するような、音を聴いただけで喚起されるような曲を作りたいと思っています。その音を聴いた瞬間浮かんでくる画が作品とシンクロするものでありたいと思いながら、プロデューサーさんや制作クリエイターさんたちと話し合いながら作っています。それでいて、そこに乗る言葉、歌詞に関しては、言葉をたどって聴いてくださるみなさんが想像して深いところまでイメージしてくださるので、『自分自身の気持ちから嘘はつかない』というか。ちゃんと大元をたどれば、自分の意思や気持ちが物語の登場人物や世界観自体と共通するものを――いつも『どこがリンクできるかな』と考えながら作っています。

テレビアニメ『「鬼滅の刃」遊郭編』は、現在、各配信プラットフォームで配信中。Blu-ray & DVD第2巻が発売中。続編となる『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』のテレビアニメ化も決定している (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
テレビアニメ『「鬼滅の刃」遊郭編』は、現在、各配信プラットフォームで配信中。Blu-ray & DVD第2巻が発売中。続編となる『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』のテレビアニメ化も決定している (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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 『残響散歌』は『遊郭編』のオープニング楽曲なので、『鬼滅の刃』という作品そのものにも寄り添えるものであることと、『遊郭編』にちゃんとマッチしたものになるように。主人公の炭治郎や宇髄たちは戦うときにすごい速度で走りますが、そのときの彼らの走るスピードを音でもちゃんと表現したかったですし、その画がパッと浮かぶ曲がいいよねって。BPMを走る速度に合わせるというか、早めに疾走感が上がるように作っていきました。

 あとは、遊郭の町並みを思い浮かべたときに1つキーポイントになったのが、提灯や行灯の灯り。ちょっと原始的な輝きというか、ゆらゆら揺らめいている灯りが町を象徴しているように感じたので、そういうものも音として聴いたときにイメージが浮かびあがるように作っていきました。

 詞に関しては、まず自分が『遊郭編』の物語の中に入っていって。そのときに、主役の炭治郎だけでなく、宇髄さんも、鬼の堕姫や妓夫太郎もフィーチャーされてくるので、各々の心情、そしてそこに私自身の個人的な今の気持ちを込めていきました。誰か1人に偏るというよりも、みんなに寄り添えるもの、どの登場人物にも当てはまるような、そういう歌詞を目指したいなって。

 例えば、何かにぶつかったときの覚悟だったり、譲れないものだったり、自分の弱い部分を薙ぎ払って前に進みたいという場面がきっと聴いてくださる方にとっても誰にでもあるはずなので、そういう気持ちをこの曲が応援できたら。

 なので、基本はロックですがアレンジはちょっとジャジーに、いろいろな楽器が大暴れしているようになっています(笑)。幾重にもトラックを重ねて、ブラス隊も生で録音。『遊郭編』の登場人物である宇髄がよく言葉にする『派手』なところにも寄り添えるように、とにかく音を詰め込んで。いろんな楽器の音がそこここで大暴れしているので、それぞれ楽器の音にフィーチャーして聴くのもすごく面白い曲だと思います。こんな感じで作り込んだ『残響散歌』によって、私自身もまた少し新しいところに導いてもらったような気がしています」

Aimer
2011年メジャーデビュー。21年よりSACRA MUSIC。これまでアニメ『NO.6』、『機動戦士ガンダムUC』、ドラマ『あなたの番です』などに楽曲を提供している