※日経エンタテインメント! 2022年1月号の記事を再構成

20年12月まで放送された『チェリまほ』で主演し、注目度が急上昇した赤楚衛二。勢いは衰えることなく21年に入り、『彼女はキレイだった』『SUPER RICH』とドラマに連投。雑誌などのメディアへの登場回数も飛躍的に増えた。俳優として変化の多かった1年を過ごし、今はどんな景色が見えているのか。21年に取り組んだ作品や人との出会いを振り返りながら、じっくり語ってもらった。

――連ドラ単独初主演作となった『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(20年、通称『チェリまほ』)を機に、若手俳優として大きく飛躍した赤楚衛二。『チェリまほ』は、赤楚演じる冴えないサラリーマンの安達が、イケてる同期の黒沢(町田啓太)に思いを寄せられて戸惑うラブコメディで、深夜枠での放送ながらSNSを中心に盛り上がりを見せた作品だ。20年12月の放送終了後も作品人気は右肩上がりで、ギャラクシー賞の「マイベストTV賞」グランプリや、ATP賞テレビグランプリ「ドラマ部門」優秀賞を受賞するなど、21年に入ってから改めて高く評価された。また、海外にも配信され、タイでオンラインイベントを開催するなど、視聴率だけでは人気の実態が測れなくなってきているテレビドラマの、新たなヒットの可能性を示した。

 主演として作品を引っ張った赤楚の立ち位置も劇的に変化。『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』や『監察医 朝顔』などへのゲスト出演がニュースをにぎわせ、雑誌などのメディアにも引っ張りだこに。21年に最も注目度が上がった俳優だと言える。

赤楚衛二氏(以下、赤楚) 反響はありがたいことに感じさせていただいています。『チェリまほ』は放送を重ねるごとにSNSのコメントがぐんぐん増えていたんですが、20年のクリスマスイブの最終回の後も、話題が途切れなくて。海外からも声が届いて、だんだん手が届かないところまで行ってしまったような。ちょっと不思議な感覚でしたね。

 改めて振り返ってみても、最高のチームだったと思います。風間(太樹)監督は本当に役に寄り添って演出をしてくださって。細かくコミュニケーションを取りながら演じやすいように。違和感とか全くなく、安達を演じられました。

 それから町田君。お芝居もそうなんですけど、穏やかさだったり考え方もすごく魅力的で、かつ、そのまま黒沢のように現場にいてくれたなと。作品への思いも自然と共有できたんですよね。すべてにおいて居心地が良くて、出会うべくして出会った感覚。本当にこの作品で、安達と黒沢というキャラクター同士で町田啓太という役者に出会えたことは、1番の宝物になりました。

健人君ほどカッコいい男はいない

――『チェリまほ』後の連ドラレギュラー第1作目は、21年7月期放送カンテレ制作の『彼女はキレイだった』(通称『かのきれ』)となった。初恋の相手同士だった気弱な宗介(中島健人)と美少女の愛(小芝風花)が、真逆の成長を遂げて再会するところから始まるラブストーリー。赤楚は、物語の舞台となる雑誌「ザ・モスト」の編集部員で、ムードメーカーの樋口拓也を演じた。

赤楚 『かのきれ』もすごく大きかったですね。(中島)健人君が同い年で、愛の親友の梨沙を演じた佐久間由衣ちゃんが1つ下、(小芝)風花ちゃんは少し下だけど、ほぼ同世代で。韓国の人気ドラマのリメイクということもあって、「いい作品にしよう」と高い熱量で全員が同じ方向を向いている、アツイ現場でした。みんなとはいまだに連絡を取り合うくらい。

 なかでも健人君にはすごく刺激を受けました。立ち居振る舞いはスマートなんだけど、良い意味で泥臭さがある。将来を見据えてのストイックさだったり、役へのアプローチの仕方の貪欲さだったり。『かのきれ』を盛り上げるためのSNSの動画の作り方とかも、常により楽しいものを目指していて、あんなカッコいい男、いないですよ。

 健人君がふんした宗介という人物は、相当難しい役だったと思います。今の時代、“パワハラ”と捉えられかねないほどの不器用さと、仕事面での苦悩、あとは徐々に愛に惚れていく様ですよね。台本を読み込んで、監督と相談しながら綿密に作り上げていってるのを近くで見て、「僕にはできないかも」と思ったくらい。健人君の持つ芯の強さや、表現に対する真摯さが前面に出ていたから、宗介というキャラクターがより素敵なものになったんだと思います。

――一方の赤楚が演じた樋口は、誰からも慕われる人物。愛に思いを寄せる、いわゆる恋の“当て馬”役で、かつ、最後には覆面作家として窮地の「ザ・モスト」編集部を救うことになる“正体”がある役だった。

赤楚 演じ方に関しては、前半はひたすら面白がろうというところから始めました。愛役の風花ちゃんが、撮影していないオフのときもチャーミングなリアクションをしてくれるから、こっちも役として自然にその場にいられました。後半の「ザ・モスト」を救わないといけない展開では、ジャクソン(=愛)1人への気持ちが、チーム全体に対するものにシフトチェンジしていった感じ。今思い返しても、「ザ・モスト」のメンバーのみなさんがいい人で、本当に笑顔が絶えない空間だったので、よりチームを好きになれたんだなと感じてます。

 特に反響があったのは、第7話で告白するシーンと、最終回直前の、樋口が謎の作家の楠瀬凛だったと明らかになるところです。僕はラブストーリーで、気持ちを伝える場面を演じるのが結構好きで。まぁ、非日常だからというのがあるのかもしれないですね(笑)。視聴者の方にも響くシーンにできて、良かったなと思います。

 樋口は陽気な性格だけど、最後まで正体が分かってはいけないので、心の底があまり見えないような表現をしないといけなくて。とは言え、あいまいだとただフワフワしたキャラクターにもなってしまうし、そのあんばいはすごく難しかったです。

 韓国ドラマの原作があるので、みんなそれぞれ少しずつ雰囲気が似てるんですよね。でも樋口はヒゲもないし、だいぶ違ったんです。原作のキムさん(チェ・シウォン)のたたずまいはすごく個性的で魅力的だから、原作ファンの方から嫌われるんじゃないかっていう恐怖はありました。

 好意的に見ていただけたのは、ジャクソンに対しての思いをベースに、軸がブレなかったからなのかなと思っています。SNSでは「樋口に幸せになってほしい」といったコメントもいただきましたが、ジャクソンに振られてちょっと落ち込みましたけど、「ザ・モスト」を救えたし、小説家としての将来もあるから、最終的には樋口にとってもハッピーエンドだったはずです。

後編に続く

赤楚衛二
あかそ・えいじ 1994年3月1日生まれ、愛知県出身。15年に俳優デビュー。『仮面ライダービルド』(17年)、『わたし旦那をシェアしてた』(19年)などのほか、主演作に単発ドラマ『パニックコマーシャル』(19年)、連ドラ『ねぇ先生、知らないの?』(19年)、『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(20年)、映画『思い、思われ、ふり、ふられ』(20年)など。22年は映画『決戦は日曜日』が公開。3月4日から放送のWOWOWオリジナルドラマ『ヒル』Season1で主演。人気ドラマを映画化した『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』は4月8日公開。

(文/内藤悦子、写真/橋本勝美、スタイリスト/壽村太一、ヘアメイク/廣瀬瑠美)

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