デザインで羽ばたくスタートアップ 第5回

デザインツール「STUDIO」は、コーディングの知識なしでWebサイトをデザイン・制作・公開することを可能にした。直感的な操作性の良さが受け、ワールドワイドで20万人弱のユーザーを獲得。将来的にはWebサービスも完結できるWebプラットフォームを目指す。

STUDIOは無料で始められる。登録すれば最初にチュートリアルが始まり、デザインの基本操作をマスターできるようになっている
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 Webサイトの制作には、デザインやコーディング、サーバーの設定など、多くのスキルやリソースが必要になる。そのため、コーディングのスキルの無いデザイナーは、「思った通りのデザインになっていない」という思いを持ちながらも、エンジニアに言い出せないというジレンマを抱えることも多い。そんなWeb制作の現場が抱える課題を解決するために、STUDIO(東京・渋谷)の創業者でCEOの石井穣氏たちが開発したのが、デザインから開発、公開、運用までをノーコードで完結できるデザインサービス「STUDIO」だ。

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 2019年7月、シードやアーリーステージに特化したベンチャーキャピタルNOW(東京・渋谷)やD4V(東京・港)、日本デザインセンター(東京・中央)、PARTY(東京・渋谷)取締役の中村洋基氏などから約1億3000万円の資金調達を完了。さらに22年1月、シリーズAラウンドにおいてOne Capital(東京・港)、D4Vから約3億5000万円の資金調達を実施した。

 STUDIOの第1の特長は、デザイナーが1人で、デザインから公開までを一気通貫でできること。「Web制作にかかる時間を大幅に短縮でき、人的コストも削減できる」と石井氏。第2にデザイナーが思った通りのデザインに仕上げることができるよう、カスタマイズ性に優れていること。とはいえ、STUDIOがターゲットとしているのは、プロフェッショナルではなく、スピードとクオリティーを両立したいという中級者。テンプレートも豊富に用意されており、ボックスレイアウトの知識さえ習得すれば誰でも使えるという。

STUDIOには非常に多くのテンプレートが用意されている。それをカスタマイズすることで、容易にデザイン性に優れたWebサイトを制作できる
STUDIOには非常に多くのテンプレートが用意されている。それをカスタマイズすることで、容易にデザイン性に優れたWebサイトを制作できる
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 そして第3の特長が、石井氏たちが創業時からこだわった「直感的な操作性」。これらの特長がユーザーに受け、世界で20万人弱のユーザーを獲得している。

 18年4月に正式リリースして、4年弱でこれだけのユーザーを獲得できた背景にあるのが、「コミュニティーを大事にしてきたこと」と石井氏は言う。サービスリリース時から熱狂的なファンが付いており、そういう人たちを巻き込む仕組みをつくった。それが「STUDIO公式アンバサダー」や「STUDIO Partners」という制度だ。

 公式アンバサダーはリリース直後からある制度で、さまざまな地域・業界で活躍するコアユーザーの中からSTUDIOが任命した公式ユーザーのこと。「当社の全面協力の下、STUDIOの魅力を発信してもらったり、ワークショップを開いたりしてもらっている」と石井氏。一方のSTUDIO PartnersとはSTUDIOの機能を知り尽くした、厳選された公認のパートナー。現在、法人やフリーランスデザイナーも含め20社が認定されている。「STUDIOをマスターすることで、その会社やデザイナーのブランディングとして活用してもらうほか、案件紹介をするなど、仕事につながる仕組みとなっている」と石井氏は話す。

 現在、STUDIOで制作されたWebサイト数は約4万あるという。メルカリの「メルカリShops」のランディングページ、ニューズピックス(東京・港)が運営する「NewSchool」の募集ページ、音楽配信サービス「AWA」のイベントページなど、さまざまな有名サービスのページがSTUDIOで制作されている。

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