
特集4回目として紹介するヤマハの一押しプロダクトは、デジタルサックス「YDS-150」と、ギターアンプの新製品として発売した「THR-IIシリーズ」だ。いずれもデザインの力で新しい市場を開拓した。
ヤマハ デザイン研究所主事
デジタルサックス「YDS-150」は2020年11月に発売。初心者でもアコースティックのサックスのように豊かな音色を出せるとして、人気の商品だ。息を吹き込むだけですぐに音を出すことができ、息の圧力により音量や音色が変化するという独自のデジタル技術を活用した。
サックスは楽器の中でも潜在ユーザーが多い分野といわれる。だがうまく音を出せず、挫折している人も少なくない。そんな市場に向けて開発を進めるにはどうすべきか。
「カジュアルなサックスを作りたかった。だがカジュアルとは何か。キーを減らしてシンプルにすることもできたが、それがヤマハが作るべきものなのかなどと考え続けた」とデザインを担当したヤマハ デザイン研究所主事の柏瀬一輝氏は話す。
ヤマハが作るべきものは何か
キーを減らして音が鳴るだけなら、玩具のようになってしまう。それがいいのか。アコースティックがベースにあるヤマハが作るものは、サックスに対する憧れを壊さないような商品を開発すべきではないか。ヤマハがすべきことは潜在ユーザーのハードルをクリアすることではないか、などと柏瀬氏は商品コンセプトをまとめ上げていった。結果、アコースティックのサックスと似たキーの大きさや数、配列とし、ストロークなども同じようにデザインした。
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