魔法瓶や炊飯器で有名なタイガー魔法瓶(大阪府門真市)が2023年2月3日に創業100周年を迎えた。高機能炊飯器で市場をけん引し、ステンレスボトルでは22年にヒット商品も生まれた。菊池嘉聡社長は「真空断熱と、電気を使った熱コントロール技術を組み合わせて、チャレンジを続けていきたい」と意気込む(聞き手は日経MJ小林宏行)。

※「日経MJ」2023年1月23日付記事「保温・保冷で世界へ宇宙へ」を再構成したものです
タイガー魔法瓶の菊池嘉聡社長
タイガー魔法瓶の菊池嘉聡社長

――炊飯器は長く高機能・高価格商品が市場の話題をさらってきました。

 炊飯器は高級品がけん引し、ほかの商品と比べるとたぐいまれなる単価上昇が続いていました。ただ、ずっと青天井で上がり続けるわけではないので、(店頭実勢価格で)10万円くらいで拮抗し、それ以上大きく上がりも下がりもしないと思います。日本のマーケットはボリュームが急激に増えたりすることはないので、中身の価値の部分をどう高めていくかが、メーカーとしての本領の発揮しどころです。

――炊飯器市場は高機能・高価格商品と、2万~3万円のボリュームゾーンで二極化しています。タイガー魔法瓶のブランドをどう構築していきますか。

 我々自身は特定のお客様に対してだけアプローチするということはしていません。よりおいしいお米、プレミアムなものを求めるお客様には世界一おいしい炊飯器を出し続け、絶対的な存在になることを目指します。一方で20~30代で独身だとか、お子様の教育にお金がかかるとか様々な理由で今はその手前(の価格の商品)で我慢しようというお客様も当然いらっしゃいます。その方々に対してはライフスタイルに寄り添ったソリューションの切り口を提案していきたいと考えています。

――炊飯器が提供できるソリューションとはなんでしょうか。

 例えば、洗いやすいなどメンテナンスを簡単にすることで時間を使わずにすむとか、レンジごはんがおいしく炊けるとか、省エネとか、そういうものを組み合わせていくことです。

 日本の家電メーカーは歴史的に機能が3つのものは1万9800円、5つで2万5800円みたいなことをやってきたのですが、今はそういう時代ではありません。1万9800円であれば1万9800円でできる最大のソリューションを提案していきたい。それぞれの価格レンジに対応した機能と特徴のバランスをとっていきます。

――消費者にうまく伝わるでしょうか。

 まだまだ工夫が足りないところだと思います。店頭販促(POP)などを含めて店頭だけでは限界があるので、自社のホームページや動画、SNSなどを組み合わせていかなければいけないと思います。

ニッチな商品、D2Cで攻め

――ステンレスボトル事業では2022年1月に発売した真空断熱炭酸ボトルは炭酸が入れられるボトルということで話題を呼びました。

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