日本マクドナルドホールディングス(HD)の業績が好調だ。2021年12月期の営業利益と全店売上高は過去最高を更新。新型コロナウイルス下の巣ごもり需要を取り込んで快進撃を続けるが、次はコロナ後を見据えた成長戦略に注目が集まる。事業子会社社長からHD社長に就任して1年を迎えた日色保氏は、30代以上の大人層の市場開拓が不可欠だと強調する。
「年齢の高いアダルト層の市場がマクドナルドにとってのニューフロンティアだ」――。
日色保氏が19年3月に事業子会社、日本マクドナルドの社長に就任してから進めてきたのが大人の消費者層をターゲットにしたブランド再構築だった。
20年以降、テレビCMに木村拓哉さんや堺雅人さんなど40代後半の人気俳優を起用。木村さんは「いいじゃんマック」をキャッチコピーに手ごろな値段で小腹を満たせる200円バーガー「ちょいマック」や本格的な味わいの「プレミアムローストコーヒー」をアピールした。最近では仕事の合間にマックを利用するコミカルなCMも好評だ。
堺さんもハンバーガーを手に同僚と仕事に打ち込んだ駆け出しの頃を思い出しながら店を訪れるビジネスマンを演じ、共感を集めた。20年からは炙(あぶ)り醤油(しょうゆ)を使った和の味わいが特徴の肉厚バーガー「サムライマック」を投入して高い年齢層の顧客の関心を集める仕掛け作りも進めている。
日色氏は「日本人の平均年齢は米中などと比べてかなり高い。マクドナルドは若者向けと思われがちだが、特に日本では働き盛りの大人や高齢者も取り込むことができなければ成長は難しい」と強調する。
21年3月の日本マクドナルドHD社長就任後はこれまでにない高級感のある商品を投入する試みも始めた。22年初めには高級チョコレートのゴディバジャパン(東京・港)と組んだチョコレートドリンクを期間限定で販売した。Sサイズで350円と他のドリンクよりも高めに設定。大人の女性の支持が高い鈴木京香さんのCMも展開した。
大人の顧客開拓はマックの課題だった夜間帯の販売拡大にも寄与する。バーガーのパティを希望に応じて増やすことができる「夜マック」のサービスも仕事終わりにしっかり食事を取りたいビジネスマンのニーズに合致する。
「愛される店」へ改装の手緩めず
日色氏はブランド再構築に当たり、大人が気軽に来店したくなるようなイメージ作りだけでなく、店舗戦略の見直しにも着手している。そこで打ち出しているのが「リビルド(建て替え)とリロケーション(移転改築)」だ。
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