1989年から2019年まで平成の30年間に若者の人気を集めたファッションやコンテンツを楽しむ動きが、Z世代の間で広がっている。自分らしくありたい気持ちが色濃く反映された平成のファッションなどに憧れる若者が目立つ。新型コロナウイルス下などで先行きが不透明な現代だからこそ、平成の前向きでポップな一面が若者の心をつかんでいる。

※「日経MJ」2022年3月11日付記事「Zの時代 平成はとなりのレトロ」を再構成したものです
“平成ギャル”のマネキンの前で写真を撮る女性(東京・新宿のルミネエスト新宿)
“平成ギャル”のマネキンの前で写真を撮る女性(東京・新宿のルミネエスト新宿)

 厚底ブーツやミニスカート、へそ出しルック……。JR新宿駅前の商業施設「ルミネエスト新宿」(東京・新宿)で2022年1月から3月13日まで開催されたキャンペーン「平成レトロニスタ―ギャルしか勝たん♡―」。館内では、平成の1990年代から2000年代前半にかけて流行したファッションをまとったマネキンが展示されたほか、ギャル雑誌風の写真を撮れるフォトブースも用意された。

 会場では当時を若者として謳歌した30~40代の女性だけでなく、1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」の若者の姿も目立った。友人と訪れた神奈川県在住の室井結凪さん(19)は「私も厚底ブーツに挑戦してみたい。派手な服を堂々と街中で着てたんだと思うとかっこいい」。

 キャンペーンのきっかけは、同施設で営業しているファッションブランドで見られた現象だった。厚底ブーツやミニスカートといった平成に流行したアイテムの売れ行きが好調で、「若者だけでなく当時を知っている世代も楽しめるはず」と企画された。

 「自分が好きなものを好きなように発信していた平成ギャルの持つパワー感が今のZ世代をひき付けているのではないか」。キャンペーンを担当したルミネエスト店営業部の蝦名美空さんは分析する。

 SNSを通じて世界中の人とつながっているZ世代は、周囲から「いいね」などの共感を得ることに価値を感じる傾向がある。そのため、SNS上で非難されることを恐れたり、人と比べて自信を無くしてしまったりと、ありのままの自分をさらけ出せないという若者も少なくない。

 一方で平成の90年代で支持を集めたギャルファッションは、メークや服装などで周囲の目を気にせずに自分らしさを貫いた。Z世代にとって、胸を張って自分らしさを貫いていた平成ギャルの生き方が憧れの対象となっている。

平成のファッションやコンテンツを身近に感じる
平成のファッションやコンテンツを身近に感じる

「ルーズソックスと厚底の靴はマスト」

 「180センチメートルって身長より長いじゃん。どういうこと?」「みんなどの長さを履いてるのかインスタで調べてみるね」

 東京・渋谷の「MEGAドン・キホーテ渋谷本店」の一角で買い物をする16歳の女子高校生2人組。お目当てはルーズソックスだ。売られているルーズソックスの種類の多さに驚きながら、50センチメートルの白いルーズソックスを選んだ。制服用の白いカーディガンもあえてかなり大きめのXLサイズで購入。「一緒にディズニーランドに行くから、おそろいで着たい」

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