2021年から続く原材料高などに伴う食品メーカーの値上げを受けて、店頭では有力ブランド商品を中心にコスト上昇分の価格転嫁が進んでいる。店頭価格を比較すると、特に各カテゴリーの上位ブランドほど値上げが浸透しているようだ。個人消費が下向く懸念もあり、値上げによる客離れを懸念する声もある。企業にとって価格戦略の重要性が一層高まっている。

※「日経MJ」2022年3月7日付記事「価格の行方 食品値上げは『強い順』」を再構成したものです
スーパーのマヨネーズ売り場(都内)
スーパーのマヨネーズ売り場(都内)

 「一時的に販売減の影響があったが、2021年9~11月には値上げした価格も浸透し販売量も戻ってきた」。22年2月25日付で相談役に退いたキユーピーの長南収前社長は21年7月の値上げについてこう振り返る。

 実際にスーパー約470店の販売データを集めた日経POS(販売時点情報管理)情報を調べると、マヨネーズではキユーピーと、味の素の大手2社の価格転嫁が進む。

 マヨネーズでトップブランドの「キユーピー マヨネーズ 450グラム」の22年1月の店頭価格は204.8円と値上げ前(21年6月)と比べて14%高い。21年7月に値上げした味の素の「ピュアセレクト マヨネーズ 400グラム」も同12%高い188.6円だ。

 特売などが減少したことも重なって、店頭の値上がり幅は両社が表明した出荷価格の値上げ幅(1~10%増)を上回った格好だ。

 原材料の食用油の高騰を受けて、キユーピーと味の素は22年3月の出荷分からマヨネーズを再び値上げした。キユーピーでは主力の450グラムのマヨネーズの参考小売価格が過去50年で最も高い水準となるため、「消費者にとっての値ごろ感が薄れ、今後は販売減も覚悟している」(長南氏)。

 キユーピーは値ごろ感のある350グラム商品の構成比を高めたり、食用油の使用率がマヨネーズに比べて低いドレッシングの販売比率を上げたりして、会社全体として利益を確保したい考えだ。

トップブランドは下位ブランドより値上げ浸透が進んでいる
トップブランドは下位ブランドより値上げ浸透が進んでいる

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