新型コロナウイルス下の在宅勤務の広がりなどで仕事着のあり方が変わろうとするなか、紳士服大手各社が主力のスーツ事業のテコ入れに動いている。手軽に自分に合った服を注文できるオーダースーツやカジュアルで動きやすいスーツ……。成長を支えてきた従来の安売り一辺倒のビジネスモデルから脱し、新たなスーツの価値を生み出そうとしている。
「青山商事のスケールメリットを生かし、さらなるシェア拡大を目指せる」
紳士服大手の青山商事は2022年2月28日、創業100年以上の歴史を持つオーダースーツの老舗「麻布テーラー」を展開するエススクエアード(大阪市)の買収を決めた。
麻布テーラーは東京・銀座や大阪・心斎橋といった都心部を中心に全国26店舗を展開し、広島県と滋賀県に自社工場を持つ。国内生産にこだわった高い技術力に定評があり、1964年の東京五輪では日本代表選手団のブレザーとスラックスを担当した。4万4000円からオーダーできる点も支持を集める。
青山商事は4月1日に子会社化を予定し、「麻布テーラー」の店舗ブランドは当面維持すると見られる。青山商事は「シタテ」や「ユニバーサルランゲージメジャーズ」といった自社オーダーブランドも展開しており、麻布テーラーに自社の供給網や顧客基盤を掛け合わせることで成長分野に据えるオーダー事業の強化につなげる。
「オーダースーツは既製服より8割ほど客単価が高い。これからは安売りではなく単価増で勝負する」。青山商事の青山理社長はこう強調する。10年後をメドにスーツ売上高に占める既製服とオーダーの割合を同じにする計画を掲げる。
郊外店では飲食店や100円ショップのフランチャイズチェーン(FC)を導入するなどして脱「スーツ一辺倒」を進めてきたが、本業の紳士服事業のテコ入れを本格化させる。
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