衣食住の人気ブランドがそろい、家族そろって買い物や食事を楽しめる――。中間層の消費の受け皿となってきたショッピングセンター(SC)が岐路に立っている。電子商取引(EC)市場の拡大と新型コロナウイルス禍の影響を受け、日本人の暮らしは大きく変化。2021年まで施設数は3年連続で減少している。イオングループなど各企業の取り組みからSCの針路を探る。

※「日経MJ」2022年2月21日付記事「『どこでも同じ』捨てたイオン」を再構成したものです
館内の表示で感染防止対策の徹底をアピール(埼玉県川口市のイオンモール川口)
館内の表示で感染防止対策の徹底をアピール(埼玉県川口市のイオンモール川口)
[画像のクリックで拡大表示]

 2021年10月に名古屋市内に開業したSC「イオンモール Nagoya Noritake Garden(ナゴヤノリタケガーデン)」(名古屋市)。JR名古屋駅から徒歩10分圏内にあるイオンモールとして初のオフィス併設型の施設だ。総賃貸面積約5万9000平方メートルのうち、オフィスが4割近くを占める。旭化成ホームズや堀場製作所のほか、名古屋外国語大も入居する。

 商業施設のノウハウを生かしつつオフィスワーカーの需要に応えるテナント構成を目指した。オフィス部分ではネットスーパーで注文した商品を受け取れるロッカーを置くほか、商業部分にはランチや「ちょい飲み」メニューが充実した飲食店が目立つ。名古屋大医学部付属病院と連携した大型複合クリニックも入居しており、館内で働く会社員の生活をサポートする。

 総合スーパー(GMS)を中核にして有名ブランドの専門店を多数そろえ、効率的な運営ノウハウやフォーマットを全国に展開する――。こうした出店戦略は長年イオンの成長ドライバーとして機能してきた。国内で約160の「イオンモール」を展開する一方で、「どこにでもあるが、どこも同じ」とやゆされる同質化も招いていた。

 「『全国一律』の商業施設はもはや通用しない」。同SCを運営するイオンモールの岩村康次社長はこう断言する。岩村社長が掲げる構想が「地域に根ざしたプラットフォーム」だ。地域や顧客ごとのニーズを細かく分析し、各施設における最適なCX(顧客体験)を提供する。その実現に向けた具体的な手段が複合的な施設開発や新業態の創出、デジタル技術の活用だ。

イオンモールは地域に根差す戦略
イオンモールは地域に根差す戦略
[画像のクリックで拡大表示]

スタートアップとも協業、次世代SC目指す

 新型コロナ下で「次世代モール」の構築を目指す同社は、21年6月に建て替え開業したSC「イオンモール川口」(埼玉県川口市)を戦略店舗と位置づける。核テナントのGMS、イオンスタイルは人工知能(AI)を活用した消費分析や、ネットスーパー向けの各種サービスも展開する。

このコンテンツ・機能は有料会員限定です。