作業服販売大手、ワークマンの業績が拡大している。新型コロナウイルス下でアパレル各社が苦戦する一方、機能性を高めた低価格の衣料品でアスレジャーやアウトドア市場を取り込んでいる。「#ワークマン女子」などで顧客層も広がるなか、小浜英之社長はフランチャイズチェーン(FC)を主軸にした店舗とネット通販の両輪で成長を目指す考えを強調した。

※「日経MJ」2022年2月13日付記事「EC・実店舗は両輪で ワークマン社長 小浜英之さん」を再構成したものです
ワークマン社長の小浜英之氏
ワークマン社長の小浜英之氏

――新型コロナウイルス下での消費行動やライフスタイルの変化をどのように見ていますか。

小浜英之氏(以下、小浜氏) 働き方が変わり、(電車やバスでなく)自転車で通勤したり、在宅勤務したりする人が増えています。健康増進や維持を心がける意識も高まっており、アウトドアやスポーツへの注目が高まっています。アウトドアを始めようとした消費者の中で、まずは手ごろな価格のワークマンの商品を購入してみようという人も目立ちました。

 これからはアウトドアや日常生活など様々なシーンで商品を使うスタイルが広がっていくと思います。こうしたライフスタイルの変化に対応した商品を展開していくのが重要です。例えば昨年販売したリバーシブルのスーツは、ジャケットやパンツを裏返すと作業着として使用できます。現場とオフィスの両方で勤務するといったワークスタイルの多様化をとらえました。

――新型コロナ下で多くの企業がサプライチェーン(供給網)の維持に苦労しています。

小浜氏 ワークマンとして原材料の高騰や、コンテナ不足で配送コストが上昇することを懸念しています。これからは、衣料品などを生産する海外の協力工場の選定が難しくなりそうです。例えば、ベトナムの協力工場では新型コロナの影響で一時、操業が停止 した例もありました。その結果、ベトナムで生産する商品の納期が遅れるようなこともありました。

 ベトナムから中国などに生産を移管することも容易ではありません。中国の縫製工場は人手不足になっており、賃金上昇に伴って製造原価も上がる可能性があります。お客様に支持されている高機能で低価格の商品を維持する方針なので、今後も最適な生産体制を模索していきます。

――新型コロナ下で、アパレル業界では電子商取引(EC)を強化する企業が増えています。ネット通販にはどのように取り組んでいますか。

小浜氏 現在のインターネット通販の売上高は30億円で、チェーン全店売上高の2%程度です。今後もネット通販の売り上げ拡大を目指していきます。例えば、たき火に強いジャンパーといった一部の人気商品などをネット専用にします。ネット通販ではきめ細かいお客様のニーズにも対応していきます。子供服は従来よりも小さいサイズをそろえるなど、サイズ展開を広げています。

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