新型コロナウイルス下の巣ごもりで需要が拡大しているネットスーパーの競争が激しさを増している。楽天グループやアマゾンジャパン(東京・目黒)などIT(情報技術)大手が注力しているほか、スーパー各社もサービスを多様化している。様々な業種・業態の企業が一斉に市場に攻め込んでおり、食品のEC(電子商取引)は群雄割拠の様相が強まっている。
※「日経MJ」2022年2月13日付記事「ネットスーパー戦国前夜」を再構成したものです
2022年1月14日午後、前橋市にあるスーパー「ベイシア前橋モール店」。店内では従業員が首から下げた端末を操作しながら、手際よく生鮮品や加工食品をカートに詰め込んでいた。従業員が詰めている食品は、1月に始めたネットスーパーで注文されたものだ。軽トラックのドライバーが商品の入った袋を受け取って荷台に運び込み、配達先へ向かっていった。
ベイシアが約100万人のアプリ会員の消費行動を分析すると、顧客の65%は来店が1週間に平均0.5回にとどまっていた。マーケティング統括本部の戸枝智存部長は「顧客が競合のスーパーでも買い物をしている」と分析。ネットスーパーを導入することで、リアルとネットの両方で来店頻度を高める狙いだ。
ベイシアが楽天グループと組んだワケ
ベイシアがネットスーパーへの参入でタッグを組んだのは、楽天グループだ。楽天が21年に立ち上げたネットスーパー向けの基盤(プラットフォーム)「楽天全国スーパー」に出店した。専用サイトから自宅の郵便番号を入力すると、居住地域への配送に対応するネットスーパーが表示される仕組みだ。22年2月5日までにベイシアの5店舗で注文に対応し、1万点以上の商品をそろえる。
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