新型コロナウイルス感染症の流行が拡大する中でネット通販の利用が増え、D2C(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)ブランドをはじめ、様々な企業がEC(電子商取引)により力を入れるようになってきた。それに伴い、ECを支援するサービスも増え、その中でも倉庫と一体となったサービスが注目されている。商品撮影や採寸など様々な機能を備えた倉庫もあり、EC支援のハブになっている。

※「日経MJ」2022年1月5日付記事「ECの味方は倉庫が違う」を再構成したものです
ネット通販サイトを運営するロコンドの物流拠点。ロコンドへの出店企業向けに、在庫管理サービスなどを手掛ける
ネット通販サイトを運営するロコンドの物流拠点。ロコンドへの出店企業向けに、在庫管理サービスなどを手掛ける

 靴やアパレルなどのネット通販サイトを運営するロコンドの大型物流拠点「ロコポートⅡ」(千葉県八千代市)。延べ床面積約5万4000平方メートルの倉庫で働くスタッフは、左腕にスマートフォン、右手にバーコードを読み取る機器をつけて倉庫内を歩く。スマホ画面にはピッキングが必要な商品と置いてある棚が表示され、商品を取っていく。

 実はこの商品を受け取る消費者は、ロコンドの通販サイトで注文をしていない可能性もある。あるいは、商品の行き先は店舗かもしれない。

 返品無料(一部を除く)をうたったネット通販で有名なロコンドだが、実は通販サイトの運営だけではなく他社のEC事業を支援する「プラットフォームサービス」を手掛けている。ECサイトの構築支援や、出荷の管理、顧客からの問い合わせ対応などを一括で請け負う。

 このサービスのキモは倉庫にある。例えば店舗を持つブランドが、ロコンドのサイトに出店した上で、自社ECも運営している場合、ロコンド向け、自社EC向け、店舗向けにそれぞれ在庫を管理する必要がある。そこで、ロコンドは店舗とECの在庫管理を一元化するサービスを提供。この倉庫から、ECで注文した消費者に発送したり、店舗へ商品を出荷したりする。

 ECで注文が入ると、店舗からロコンドの倉庫に戻した上で顧客の自宅へ配送する仕組みも備えている。これにより、顧客企業は在庫回転率を向上できるという利点が生まれる。さらに2022年春夏中には店頭から顧客に直接出荷する機能を構築予定だ。

 企業がこのプラットフォームサービスを利用するにはロコンドの通販サイトに出店することが条件だが、倉庫に置いた商品を最終的には店舗で販売したとしても一定数までは保管料金はかからない。ロコンドのサイトで販売する商品の在庫として扱うためだ。その代わり、ロコンドは販売手数料や作業料をとる。

 ロコンドは現在、プラットフォーム事業の拡大に力を入れており、21年2月期の同事業の取扱高は35億円(返品差し引き前)と、5年前の約2倍に伸びた。1つの倉庫で様々なチャネル向けの商品を扱えるのは、物流管理やECサイト運営などのシステムを自社で開発してきたためだという。田中裕輔社長は「国内売り上げ10億~100億円規模のブランドがコアターゲットだ」と話す。

マガシークもEC支援事業を拡大

 ファッション通販サイト「マガシーク」を運営するマガシーク(東京・千代田)も、ECの支援サービス「UN/SY(アンシー)」を提供する。現在、約30ブランドから受託している。

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