2022年1月4日発売の「日経トレンディ2022年2月号」では、「ほったらかし株&投信」を特集。智剣・Oskarグループの主席ストラテジストとして、世界の株式市場の先行きを読む大川智宏氏。2022年の相場をどう予測し、どんなテーマに注目しているのか。

※日経トレンディ2022年2月号の記事を再構成

智剣・Oskarグループ 主席ストラテジスト
大川智宏 氏

野村総合研究所、JPモルガン・アセットマネジメント、クレディ・スイス証券、UBS証券を経て独立系リサーチ会社の智剣・Oskarグループ設立。専門は計量分析に基づいた株式市場の予測、投資戦略の立案など

前回(第10回)はこちら

――日本の株式市場の現状をどう見ていますか。

 「日本株の独り負け」状態ですね。海外投資家の日本株への興味が急速に薄れていると感じます。新型コロナのオミクロン型への懸念が高まった中でも、欧米の株式相場が早々に戻しているのに対して、日本株は戻りが鈍い。

 理由の一つは、日本の政策に一貫性がないことです。2021年11月に経済対策が発表されても、中身に対する期待が高まらないので、マーケットの反応は薄いものでした。

 もう一つは経済です。世界的には、景気回復期待や材料高に起因したインフレが進行し、その過熱感に対して金融引き締めのフェーズにきているにもかかわらず、日本だけは物価が上がらない。つまり経済が停滞しています。

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――一方で、米国は歴史的な株高です。

 米国ではインフレがすごい勢いで進んでいます。21年11月は消費者物価指数(CPI)が前年同月比6.8%の上昇と、39年ぶりの高水準でした。エネルギーや半導体から食品などまで幅広い分野で供給不足が続き、足りない以上は金額を上乗せしてでも買いたいという人たちの間で、オークション形式で価格が上がってしまう。6.8%といえば、毎月0.5%ずつ消費税が上がっていくようなものです。

 しかし、こと米国に関しては、物価の高騰は株式市場にとって悪いことではありません。もともと個人資産の5割を株で持つという国。インフレヘッジで株を持っている人が多いですし、値上がりしたら資産効果でその分また買う。結局、株式相場がインフレと連動して上昇しているのです。

 翻って、日本では全くインレフが起こらない。消費者物価は21年9月にようやく前年同月比プラスになりましたが、エネルギーを差し引いた上昇率を見るとまだマイナスです。ものの値段が変わらないのに、株価だけが上がっていくことはあり得ません。

値上げを行った企業の業績改善に注目

 光明があるとすれば、21年秋以降、食品をはじめとする商品の値上げが目立ち、日本でもインフレの芽が出始めたように感じられることです。特に食品は買わざるを得ないですから、株式マーケットの反応としては、値上げにおおむね好意的です。

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