
楽天市場などECモールでの圧倒的な売れ行きを武器に、小売店の棚を取る動きが加速している。2021年には日本水産と松屋フーズホールディングスが共同開発した冷凍おにぎりが、ECからリアルへの展開で売れ行きを伸ばした。EC先行型の商品展開が新たな商流をつくり出している。
2021年5月、楽天市場などでEC限定商品を発売したところ、想定以上の反響を集め、一躍、人気商品に。それが社内の営業担当の目に留まり、小売店での販売もスタート。ECの販売数に対して、リアルでは数十倍の売り上げを記録するヒット商品に育った――。
そんなEC発のサクセスストーリーを手中にしたのは、日本水産だ。大ヒットを記録した商品は、松屋フーズホールディングスと共同開発した冷凍おにぎり「松屋監修 牛めしおにぎり」。松屋の牛めしレシピを活用し、味そのままに片手で食べられる冷凍おにぎりにしたアイデア商品だ。冷凍食品は、コロナ禍の“巣ごもり需要”で大きく市場を伸ばしているが、その中でも「21年に発売した新商品でトップクラスの売れ行き」(日本水産)という。
日本水産は、21年3月に新部署となるEコマース課を立ち上げ、EC強化を図ってきた。21年7月には、商品情報やキャンペーン情報、レシピ情報とECへのリンクをまとめたサイト「ニッスイフードパーク」をオープン。集客力が高いレシピサイトを生かして、ECなどにもユーザーが回遊する流れをつくっている。
主力は楽天、Amazonで品数絞る理由とは?
現在、ECモールについては、楽天市場やAmazon.co.jp、PayPayモールで「ニッスイ公式ショップ」を出店している。中でもメインで運用しているのは、楽天市場。Amazonに比べて、公式ショップの作り込みの自由度が高く、ニッスイブランドをしっかりアピールできるのが、その理由だ。
楽天市場のニッスイ公式ショップのメルマガ会員はアクティブで約2万人おり、ニッスイファンの囲い込みに役立っている。「ニッスイ公式ショップ全体の売り上げのうち、楽天市場が6割程度を占める」(日本水産 特販営業部Eコマース課長の菱沼健氏)
それもそのはず、楽天市場では全ラインアップを扱うが、あえてAmazonでは品数を絞っている。一体なぜか。
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