
ECサイト、ドラッグストアなど、マルチチャネルで販路を拡大するメンズスキンケアの「BULK HOMME (バルクオム)」。2013年から販売開始したAmazon.co.jpは、自社ECサイトに次ぐ売り上げ規模となっている。21年から“攻め”に転じたというバルクオムのAmazon販売戦略とは――。
Amazonは自社ECサイトに次ぐ販売チャネル
バルクオム(東京・港)がAmazon.co.jpで販売を開始したのは、ブランドがスタートした2013年。「立ち上げたばかりなのだから、試せることはすべて試してみよう」の精神で、主要販売チャネルの公式ECサイトに併せて、Amazonでも販売に乗り出した。
バルクオム事業全体の業績は非開示だが、22年1月時点の売上構成比は、オンライン7~8割に対し、オフライン2~3割。ブランドを立ち上げた当初から最も重視しているのは、自社ECサイトだ。コスト面での優遇やマイレージプログラムの提供により、ロイヤルカスタマー育成の場となっているからだ。
一方、初回購入のタッチポイントを広げるためのマルチチャネル戦略にも注力している。オンラインであればAmazonや楽天市場など。オフラインであれば、ドラッグストアやコンビニエンスストアでの販売、ホテル・旅館向けの業務用アメニティーのほか、21年8月、東京・新宿マルイ本館に開設した旗艦店もその1つだ。
オンライン売上比率の中で圧倒的に大きいのは自社ECサイトだが、Amazonはそれに次ぐ規模となっている。楽天市場やYahoo!ショッピングも活用しているが、Amazonはオンラインショッピングモール全体の売り上げのうち8割以上と断トツだ。
Amazonは、潜在層の認知を拡大し、売り上げを作るための重要なチャネルと位置付けている。現在Amazonで取り扱うのは、主力のスキンケア商品に加え、ヘアケア商品、ボディーケア商品など。家族や恋人、友人など女性の代理購入も想定し、ギフトセットも用意する。21年8月より販売開始したリキッドアイブロウ、コンシーラーなどのメーキャップラインは扱っていない。
販売方式としては、まとまった数量の商品をAmazonに卸し、販売を委託する「ベンダーセントラル」を採用。事業主が直接販売する「セラーセントラル」より自社で展開できる販促活動には限りがあるが、在庫管理が容易という利点があるとしている。
広告運用は、守りから攻めへ
21年4月からAmazonのセールスチャネル責任者を務めているのは、Domestic SBU Sales Division Managerの古川大樹氏。もともと小売店の営業責任者をしていたが、バルクオムにとってAmazonの立ち位置は、「卸先の1つ」。そのため、包括的に卸売りを見ていくことから、古川氏が兼任することになった。
セールスチャネル責任者に就任後、古川氏が着手したのは、Amazonでさらに売り上げを伸ばすための広告運用だ。バルクオムでは、Amazonの検索結果に商品を表示できる「スポンサープロダクト広告」の活用ケースが多い。
「従来は、『バルクオム』『ばるくおむ』など、指名キーワードで検索した人に購入していただこうという意識で広告運用をしていた。いわゆる守りに近い形だった。21年4月からはもう少し広く、『洗顔 メンズ』『メンズ 洗顔』などの一般キーワードやカテゴリーから検索している人にも認知してもらい、購入を検討していただこうと考えを改めた」(古川氏)。
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