キャッシュレスが生み出す可能性 第4回

複数の決済手段をまとめて代行処理し、小売店に提供するゲートウエイ(決済代行)事業者大手で、USEN-NEXT HOLDINGS傘下のUSEN(東京・品川)が、2021年10月から主に中小小売店を対象に、キャッシュレス決済の領域で攻勢をかけている。決済にとどまらず、店舗に対するサービスを幅広く提供できることを強みに、競合他社との違いを打ち出す。

USENが主に中小小売店に提供しているキャッシュレス決済サービス「Uペイ」「UぺいQR」。45種類の決済手段に対応している(出所/USEN)
USENが主に中小小売店に提供しているキャッシュレス決済サービス「Uペイ」「UペイQR」。45種類の決済手段に対応している(出所/USEN)

 日本でキャッシュレス決済の普及を推し進める上で、複数のキャッシュレス決済手段を1つの端末でまとめて処理するサービスを提供する、いわゆるゲートウエイ(決済代行)事業者が、大きな役割を果たしている。例えば、「Airペイ」「Airレジ」などを提供するリクルートや、USEN-NEXT HOLDINGS傘下のUSEN 、GMOペイメントゲートウェイ(東京・渋谷)などが、ゲートウエイ事業者大手である。

前回(第3回)はこちら

 中小小売店の側から見たゲートウエイ事業者の特徴は、複数のキャッシュレス決済手段を1つの端末でまとめて処理してくれることに尽きる。クレジットカード会社や電子マネー運営会社、QRコード決済事業者などと個別に契約を結ぶ手間が省けるし、個別に契約すれば別々になる金融機関への口座振り込みの時期も、ゲートウエイ事業者が間に入ることで1回にまとめることができる。

 中小小売店が気にしがちな決済手数料も、それぞれの決済手段によってあらかじめ定まっていて個別の交渉がいらないケースがほとんどだ。例えば、Airペイの場合、クレジットカードのうちVisaやMasterCardは3.24%、JCBは3.74%、電子マネーのうち交通系は3.24%、「iD」や「QUICPay」は3.74%、QRコード決済は、1.08%(税込み)の「coin+(コインプラス)」を除き、おおむね3.24%という具合だ。

 ここに挙げた程度の手数料を負担しても、複数のキャッシュレス決済を導入したいと考える小売店にとって、ゲートウエイ事業者は有力な選択肢といえる。

国内最大規模の45種類の決済手段に対応したUSEN

 もっとも、ゲートウエイ事業者側から見ると、競合他社に対して違いを打ち出しにくい。例えば、店が負担する決済手数料や金融機関への振込手数料などは、決済事業者が決めたものがベースになる。ゲートウエイ事業者はこれらの手数料のうち、おおむね1%以下とされる取り分を得る。その薄利を元に、自己負担で、差異化のために独自の手数料価格などの施策を打ち出すことはある。しかし、もともと利幅が薄いだけに、他の収益源がない限り、長い目で見れば長続きしにくく、決済事業者が決めたベース近辺に価格帯は収れんしがちだ。

 現在は、各社がキャッシュレス決済をまだ導入していない小売店の開拓を優先し、別の事業者のサービスを導入した小売店により有利な条件を提示して自社のサービスにリプレースさせるようなケースはそれほど多くない。だが、今後競争が激しくなれば、違いをより明確に打ち出す必要に迫られるはずだ。

 そこでUSENは、小売店にゲートウエイ事業者として提供しているキャッシュレス決済サービス「Uペイ」「UペイQR」について、対応する決済手段の増加と、中小小売店のさまざまなニーズへの対応の2つを自社の強みとして、競合他社との違いを打ち出す作戦に出た。USEN-NEXT HOLDINGS決済事業室長 兼USEN ITソリューション事業部キャッシュレス推進部長の姥貝徳尚氏は、「これらの強みを生かし、これから新規に開業する店、中でも飲食店に狙いを定めて、開拓していく」と意気込む。

USEN-NEXT HOLDING決済事業室長 兼USEN ITソリューション事業部キャッシュレス推進部長の姥貝徳尚氏
USEN-NEXT HOLDINGS決済事業室長 兼 USEN ITソリューション事業部キャッシュレス推進部長の姥貝徳尚氏

このコンテンツ・機能は有料会員限定です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
3
この記事をいいね!する