キャッシュレスが生み出す可能性 第3回

カフェチェーン大手の銀座ルノアールは2021年10月から、電子マネー「楽天Edy」で決済する「ルノアールEdyカード」(22年3月末で販売終了)に替えて、自社専用電子マネーを搭載したプリペイドカード「ルノアールカード」を発行し始めた。独自の決済手段を提供して顧客の利便性を向上させ、来店頻度の高い“ロイヤルカスタマー”を増やすのが狙いだ。

銀座ルノアール運営の店舗で「ルノアールカード」で決済しているシーン(出所/銀座ルノアール)
銀座ルノアール運営の店舗で「ルノアールカード」で決済しているシーン(出所/銀座ルノアール)

 楽天ポイントを核とした“経済圏”を構築する楽天グループ。その力を借り、電子マネー「楽天Edy」やQRコード決済「楽天ペイ」を導入することで楽天ユーザーを誘引するのは、リアル店舗の常道だった。だが最近、楽天経済圏と距離を置き、自前のキャッシュレス決済導入に踏み切るチェーンが出始めている。

プロント公式アプリ(左)に実装された独自のコード決済「プロントマネー」(右)の画面(出所/プロントコーポレーション)
プロント公式アプリ(左)に実装された独自のコード決済「プロントマネー」(右)の画面(出所/プロントコーポレーション)

前回(第2回)はこちら

 例えば、カフェチェーン「プロント」を運営するプロントコーポレーション(東京・港)は2021年10月20日から、プロント公式アプリに独自のコード決済「プロントマネー」を実装した。代わって、楽天ポイントが通常の2倍付与され、決済時にドリンクのみ支払額の10%を割り引く「プロン党Edyカード」の特典を、22年6月末で終了する。

 「喫茶室ルノアール」や「カフェ・ミヤマ」など複数ブランドで、関東エリアに約100店のカフェチェーンを展開する銀座ルノアールも、自前のキャッシュレス決済手段を導入した1社だ。

 これまでは、店頭のレジで、クレジットカードや電子マネーなどさまざまなキャッシュレス決済の手段に対応しつつ、楽天Edyで決済するプラスチック製の「ルノアールEdyカード」を発行していた。顧客がルノアールEdyカードを100円で購入し、原則、現金でチャージして使うもので、特典として、決済時に支払額の10%(喫茶室ルノアールなど)、または5%(カフェ・ミヤマなど)が割引される。また楽天EdyのサイトでEdy番号や楽天IDなどを登録しておけば、ルノアールEdyカードでの支払い200円につき楽天ポイント1ポイントが付与される。たまった楽天ポイントはカードへのチャージにも利用可能だ。

 銀座ルノアールの店舗を頻繁に利用する顧客はもちろん、いわゆる“楽天経済圏”に身を置き、楽天ポイントをためているユーザーについても、ルノアールEdyカードの魅力で店頭に集客することを狙っていた。

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