
コード決済「AEON Pay(イオンペイ)」などを組み込んだイオン独自アプリ「iAEON(アイイオン)」の提供を開始したイオン。キャッシュレス決済としては後発だが、あえて自社アプリに独自決済を組み込むことで顧客の購買履歴を把握し、将来はパーソナライズされたマーケティングの展開を目指す。
「イオンはグループとして、リアル店とデジタルを融合させたシームレスな体験を顧客に提供していくと(2021~25年度の)中期経営計画でうたっている。2021年9月に提供を開始したアプリ『iAEON(アイイオン)』は、そうした体験を提供するための、グループ共通のタッチポイントという位置付けだ」
こう話すのは、イオン DX推進担当の菓子豊文氏だ。同じく21年9月には、イオンフィナンシャルサービスが発行するイオンマークのクレジットカード(「イオンカード」)の利用に付与されていた「ときめきポイント」を「WAON POINT」に変更。イオングループでの購買や利用で付与されるポイントをWAON POINTに統合する手立ても打っている。
将来はパーソナライズマーケも視野に
イオンが狙っているのはこんな利用法だ。iAEONをスマートフォンにダウンロードした顧客に対して、iAEONを通して、商品やサービスに関連するさまざまな情報を提供。併せてクーポンなど顧客が得する情報も発信する。そうしてイオン店頭でもオンラインでも、顧客の利用を促そうというのだ。
将来は、どんな顧客が、どのような商品やサービスをいつ、どこで利用(購買)したかを、iAEONを介して把握。「多くの顧客のデータを分析して同傾向の顧客群を見いだし、顧客ごとに購買や利用を促す情報を最適なタイミングで提供していくパーソナライズマーケティングを実施しようと構想している」(菓子氏)という。これらのデータを、アプリを通して収集するためには、自社アプリ上に自前の決済機能を搭載することが必要だったのだ。
現在、iAEONには、コード決済の「AEON Pay」と電子マネーWAONという2種類の決済手段が搭載されている。AEON Payは、アプリに会員登録し、クレジットカード情報を登録した後(クレジットカードとひも付け)、アプリ画面上に表示されたコードを店側が読み取って決済完了となる。電子マネーWAONを使う場合は、たまったWAON POINT(1ポイント=1円換算)かイオンカードからチャージして決済できる。
現在はイオングループ以外の場所でも利用範囲が広がっている電子マネーWAONをアプリに搭載して決済可能にすれば十分では、という見方もあったが、イオンはあえてAEON Payを搭載した。
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