キャッシュレスが生み出す可能性 第1回

リクルートと三菱UFJ銀行が共同出資して設立したリクルートMUFGビジネス(東京・中央)が、2021年12月から新たなキャッシュレス決済手段を提供し始めた。その名は「COIN+(コインプラス)」。店側が負担する決済手数料0.99%(税別)という驚異の低さを武器に、他社アプリへのOEM(相手先ブランドによる生産)提供で普及を狙う。自社アプリへの決済機能搭載を通じてマーケティングの強化を検討する企業は徐々に増えつつある。リクルートの挑戦は、時流をつかめるか。

COIN+の決済機能を備えたアプリ「エアウォレット」の画面(出所/リクルートホールディングス)
COIN+の決済機能を備えたアプリ「エアウォレット」の画面(出所/リクルートホールディングス)
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 「国の旗振りの下、店側が決済手数料を負担するこのままのやり方でキャッシュレス決済を普及させていったら、リクルートの顧客でもある中小小売店の多くは、負担の大きさでいずれ倒れてしまう。決済手数料が安いキャッシュレス決済手段がどうしても必要だと考えた」

 こう語るのは、リクルートMUFGビジネス社長の夏目英治氏だ。現状、中小小売店がキャッシュレス決済を導入すると、クレジットカードや交通系を含む「iD」「QUICPay」のような電子マネーでは一部を除き3%以上、QRコード決済でも1%台から3%台の決済手数料をそれぞれ負担する必要がある(ただし、2022年秋までのキャンペーン期間中は0%を打ち出すQRコード決済事業者が多い)。

 営業利益率が3%前後にとどまるような中小小売店では、こうした決済手数料を負担し続けるのは容易ではない。そこでリクルートが三菱UFJ銀行と組んで開発したキャッシュレス決済手段が、COIN+である。コード決済としては後発だが、店側が負担する決済手数料はわずか0.99%(税別)。この低料率によって店側を魅了し、後発の不利を克服する可能性がある。

決済以外にも、無料で友人への送金や口座への出金が可能

 COIN+の仕組みを見てみよう。ユーザーはリクルートMUFGビジネスが提供する、COIN+の決済機能を備えたアプリ「エアウォレット」を自分のスマートフォンにダウンロード。金融機関の口座登録と本人確認を済ませた後に、口座から指定金額をCOIN+の残高にチャージする。コード画面をアプリ上に表示して、COIN+に対応している店側で読み取ってもらえば、決済完了だ。決済以外にも、COIN+を持つ友人への送金や口座への出金も手数料なしで行える。

アプリ「エアウォレット」の利用フロー(出所/リクルートホールディングス)
アプリ「エアウォレット」の利用フロー(出所/リクルートホールディングス)
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 店側がCOIN+に対応するためには、さまざまな決済をiPadまたはiPhoneとカードリーダー1台で決済できるリクルートのサービス「Airペイ」シリーズのうち「AirペイQR」を導入すればよい。AirペイQRが対応しているさまざまな決済手段の1つとして、COIN+があるという位置付けで、ユーザーがCOIN+で決済してくれれば、店が負担する決済手数料は0.99%で済むわけだ。

販促費用を負担しないことで低料率を実現

 0.99%という低率を実現できた理由を、夏目氏は2つ挙げる。

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