
腕時計ブランド「タイメックス」を扱うウエニ貿易(東京・台東)は、期間限定で腕時計やプレゼント専用の自販機を相次いで展開している。渋谷ロフトに設置した際は、目標比1.5倍の売り上げを達成。1万円を超える高額商品を自販機で買ってもらう秘訣は、商品が持つ背景をいかに消費者に届けられるかにあった。
缶の中に入っているのはジュースではない。腕時計だ。2021年10月20日から11月18日の期間限定で、腕時計ブランド「タイメックス」を扱うウエニ貿易は時計店「オンタイム 渋谷ロフト店」に腕時計の自販機を設置した。
自販機は、タイメックスとコカ・コーラとのコラボレーション商品「タイメックス × コカ・コーラ コラボレーション ウォッチ」の販売の一環としてウエニ貿易が企画したもの。レジで自販機専用コインを購入し、それを自販機に投入すると腕時計が出てくる仕組みだ。時計の価格は1万2100円から2万6400円(税込み、以下同)。1万円を超える腕時計をわざわざ自販機で買う人がいるのかと思いきや、目標比の1.5倍を売り上げたという。
そもそもなぜ、腕時計を自販機で販売することにしたのか。ウエニ貿易 時計事業部 マーケティング&コミュニケーション チーフプランナーの佐藤智子氏は、「新型コロナウイルス禍において、世の中に楽しい企画を届けたかった。自販機ならば非接触で商品を販売することもできる」と語る。
さらに、腕時計を自販機で販売することは、それ以上に大きな意味を持つものでもあった。ウエニ貿易 時計事業部 マーケティング&コミュニケーション マネジャーの都河尚人氏は、「腕時計販売に新しい風を吹かせたかった」と付け加える。腕時計は店舗で接客を受けて試着をし、購入するのが一般的。しかし、腕時計を買うのに本当にそのプロセスが必須なのか。自販機での販売は、腕時計販売の常識への問いかけでもあったのだ。
とはいえ、腕時計を自販機で販売するのは簡単ではなかった。自販機で販売する商品の価格は9900円までという制約があったこと、精密機械である腕時計を自販機から取り出すところまで壊れないように運ぶ必要があるといったことがハードルとなった。
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