
1990年代半ば以降に生まれたZ世代が、消費のあり方を変えようとしている。子どもの頃から、気候変動や海洋汚染などの問題が身近にあったZ世代。自らの行動で環境や社会課題の解決に貢献するといったエシカル志向は強い。ただ一方で膨大な情報にさらされ、「エシカル疲れ」を感じる若者も少なくない。買い物の体験そのものを楽しみながら、環境や社会に貢献する「ファン・エシカル」を意識した企業の取り組みも広がる。
「安く買って得をするよりも、社会に良いことをして満足感を得たい」。都内の大学生、板谷優子さん(20)はスーパーでフェアトレードの青果物を購入するようにしている。例えば、バナナ1本の値段が数十円高くなっても構わない。一方で社会への貢献をSNSで自慢することには違和感を覚える。「生活の中に自然とエシカルがある、くらいがちょうどいい」
多くの企業がビジネスの前提にするSDGs(持続可能な開発目標)は、2015年の国連サミットで採択された。気候変動や海洋汚染、格差社会……。1990年代半ば以降に生まれたZ世代にとって、環境や社会問題は常に身近にある。都内の女子大生(19)は「サステナブルやエシカルという言葉をよく聞くけど、私たちの生活では当たり前」と語る。
日経MJが2021年11月にZ世代の中の16~26歳約5000人にアンケート調査を実施した。価格が高くなったり、不自由になったりしても、自らの消費行動を通じて社会の課題解決に貢献したいかどうかを聞いたところ、34.9%が「貢献したい」意向を示した。「貢献しなくていい」と考える割合(23.2%)を11.7ポイント上回った。自分は金銭的に貧しいと考えるZ世代に限っても24.6%が「貢献したい」意向だった。所得の多寡に関係なく、自分の消費行動をソーシャルグッド(社会貢献)につなげたい意識が垣間見える。
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