変わる消費 新しい買い方2022 第1回

新型コロナウイルス禍の収束を見越し、「リベンジ消費」というキーワードが2021年末に注目を集めた。だが調査会社などに取材すると、コロナ禍以前の生活スタイルに戻ることは難しく、リベンジ消費への期待は薄いという。この理由はオミクロン型への不安だけではなく、新しい生活様式(ニューノーマル)が定着したためだ。22年は“ニューノーマル消費”への対応が求められる。

「今の生活に慣れてしまうと、元には戻りにくい」という声が調査結果から分かった。野村総合研究所が21年12月に実施した「生活者年末ネット調査」より(画像提供/野村総合研究所)
「今の生活に慣れてしまうと、元には戻りにくい」という声が調査結果から分かった。野村総合研究所が21年12月に実施した「生活者年末ネット調査」より(画像提供/野村総合研究所)

 シニア世代がメルカリや動画配信サービスを日常的に利用したり、若い世代が価格よりもサステナブルな価値観に共感して商品を選んだりなど、新しい消費行動が生まれている。コロナ禍が収束したら、「リベンジ消費」は起こるのか? 移動販売や自販機など、コロナ禍で存在感を増した販売形態は消費行動をどう変えるのか?  本特集では2022年の「変わる消費」と「新しい買い方」を探った。

 特集1回目では、22年の消費動向を俯瞰(ふかん)して見ていく。まずは期待が高い、リベンジ消費を分析した。コロナ禍で打撃を受けた観光業や飲食関連を中心に、消費の回復を切望する声は多い。実際、緊急事態宣言が解除された21年10月以降、各社から相次いで消費浮揚を狙ったサービスが登場した。だが各業界の統計を見ると、「リベンジ消費」と呼ぶにはまだ程遠い状況が続いている。

 例えば観光需要は、いまだに渡航が難しい海外旅行だけでなく、国内旅行もリベンジ消費には程遠い。観光庁の宿泊旅行統計調査速報によると、国内旅行の21年11月の延べ宿泊者数は3562万人だった。9月の2243万人から約1300万人、10月の3290万人から約270万人増えたが、コロナ禍以前の19年11月の4966万人の72%程度にとどまっている。

 外食産業は明暗が分かれた。日本フードサービス協会が発表した21年11月の外食産業市場動向調査によると、ファストフードの売り上げは20年同月比101.9%、コロナ禍前の19年同月比で103.1%と好調だった。しかし10月下旬に酒類提供の制限がなくなったものの、ファミリーレストランの売り上げは20年同月比は95.2%(19年同月比83.7%)と客足は鈍い。パブ・ビアホールの売り上げは20年同月比111.4%(19年同月比54.2%)だったが、居酒屋は20年同月比91%(19年同月比50.8%)だった。

 もちろん消費者の不安感は次第に薄れるだろう。オミクロン型の行方は予断を許さないが、新年の前向きな気持ちも相まって、22年に入ってもリベンジ消費を狙ったサービスは相次ぐに違いない。だがコロナ禍以前の状況に回復するとしても、まだ時間がかかりそうだ。調査会社の分析担当者たちに取材すると、消費者の生活スタイルは元に戻らないのではないか、と口をそろえる。

なぜリベンジ消費に期待できないのか

 野村総合研究所(NRI)は毎年12月に3000人を対象に「生活者年末ネット調査」を行っており、21年12月にも調査した。マーケティングサイエンスコンサルティング部主任コンサルタントの林裕之氏は、「調査はコロナ禍が収束すればリベンジ消費の意欲が高まるのではないかと期待感を持って取り組んだ。しかし結果は、もうコロナ禍以前の消費水準には戻らないのではと思われるもので、リベンジ消費そのものに懐疑的になった」と語る。

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