
埼玉に県民から愛されているソウルフードがある。創業1964年の中華料理チェーンの「ぎょうざの満洲」だ。売れ筋トップ3は、焼きギョーザ、チャーハン、そしてラーメン。一度食べればファンになり、通い続ける人が後を絶たない。その人気の中華料理店が掲げる最重要項目が意外にも“健康”。達成のため、裏では並々ならぬ努力を重ねている。なぜ健康なのか。
ぎょうざの満洲は、埼玉県内に49店舗を展開し、東京西部35店舗、神奈川1店舗、群馬5店舗、大阪9店舗、兵庫2店舗の計101店舗を出店している(2021年12月現在)。店名にも入る一番人気の焼きギョーザは、県外にもファンが多く、一度食べれば思わずリピートしてしまう看板商品だ。
ギョーザは、埼玉県内にある川越工場と坂戸工場、大阪にある江坂工場のセントラルキッチンで作られ、自社の配送便で各店舗に配送される。店舗が埼玉県内に多く、東京でも西部に偏っているのは、「工場からの距離が関係している」と池野谷ひろみ社長は明かす。「ギョーザは製造したその日が賞味期限。工場から店舗には生ギョーザの状態で運ばれ、デリケートなもちもちの柔らかい皮で包んでいるため、時間経過とともに、皮同士がくっついたりする問題も出てくる。だから、配送は時間との勝負。工場から1時間以内で配送できる場所が出店する際のルールになっている」
そうして、届けられた作りたての生ギョーザを焼いて提供する。だから、もちもちして食通をもうならせる。加えて、このギョーザには“鮮度”に関して、もう一つの秘訣がある。自社農場で作っているキャベツだ。工場から車で10分程度の目と鼻の先に、東京ドーム2個分の広大な畑を持ち、キャベツを中心に栽培。夏以外の季節はこの畑で取れるキャベツをギョーザの具材に使っているのだ。取れたての鮮度抜群のキャベツを使うから、シャキシャキで甘みが強い。これがギョーザのおいしさを、より一層引き立てている。
さらに、同店のギョーザを語る上で、欠かせない重要なポイントがあと一つある。それが、18年に豚肉の脂身を3割減らし、逆に赤身を3割増やした餡を新たに採用し、長年作ってきたギョーザを刷新したことだ。こうして赤身を増やしたことにこそ、同社の、そして池野谷社長の信念が込められている。一体どういうことか。
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