日経トレンディが選ぶ2022年の「今年の顔」の一人は、間宮祥太朗。22年は3クールにわたって主役や相手役で連続ドラマに出演するなど、飛躍の年となった。間宮と同じ1993年生まれには、菅田将暉、神木隆之介といった主役級がそろうが、他人と比べて自分の道を評価することはないという。「日本映画が盛り上がる俳優のうちの一人でありたい」と話す、間宮の現在地とは。

※日経トレンディ2022年12月号より。詳しくは本誌参照

日経トレンディが2022年の「今年の顔」に選んだ間宮祥太朗
日経トレンディが2022年の「今年の顔」に選んだ間宮祥太朗
俳優 間宮祥太朗
まみや・しょうたろう 1993年6月11日生まれ、神奈川県出身。2008年にドラマ「スクラップ・ティーチャー~教師再生〜」(日本テレビ系)でデビューし、映画、ドラマ、舞台などで活躍。文中以外の主な映画に『トリガール!』『殺さない彼と死なない彼女』、ドラマに「べしゃり暮らし」(テレビ朝日系)、「麒麟がくる」(NHK)など

 2022年は、3クールにわたって主役や相手役で連続ドラマに出演。さらに主演映画も公開されて飛躍した間宮祥太朗。18年のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」でヒロインの夫となる森山涼次を演じてブレイクし、21年の「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(TBS系。以下、「ボス恋」)でのツンデレ編集者・中沢涼太役で第2ブレイク。そして今回、「今年の顔」に選出されたが、本人は「第1も第2もないです」と笑う。

 だって、今までブレイクなんかしてないですから。ずっと「ネクストブレイク」とかいわれていましたけど、それって「ブレイクしていませんからね」っていわれているようなもの(笑)。もちろん朝ドラのときは、ある程度は思いましたよ。「これでブレイクか?」って。でもガーッと上がっていったのは中村倫也で、「あれ?俺じゃなかった!」と(笑)。こうやって「今年の顔」に選んでいただいたということは、今年が第1ブレイクじゃないかな? まあ、自分では何の実感もなくて、不思議な感じですけど。

 子供の頃から映画好きで、中学に入るとミニシアターにも通ったという間宮。少しでも映画業界に近づきたいと、08年、15歳のときに芸能界入りした。そして10年の初舞台『ハーパー・リーガン』で芝居の楽しさに目覚め、16年に福田雄一監督による「ニーチェ先生」(Hulu配信、読売テレビ・日本テレビ系)で連ドラ初主演。以降、アクの強いキャラクターを演じることが多かったが、「ボス恋」の中沢役で、世の女性の〝キュン”を誘った。

 「ボス恋」のときは、胸キュンのTBS火曜22時枠に自分がハマるのか、不安だったんです。それまでそんな役をやってなかったし、見てくれもそうではないと薄々気付いていたので(笑)。そんな自分を、「この役でブレイクさせたい」と女性プロデューサーたちに起用していただいて、やってみたら、中沢という役がやりやすかった。それまで「カッコつけるのは嫌だな」と思っていた自分が、少しはなくなりました。

 そのチームにまた呼んでもらえて、カッコつけるところはちゃんとカッコつけられるようになったのが、今年の「ファイトソング」。今までヒロインにフラれる“当て馬”の役が多かったんですけど、恋愛面でも成就させていただけて、ありがたかったです。

 1月期の「ファイトソング」(TBS系)では、聴神経腫瘍を患う主人公(清原果耶)とラブストーリーを繰り広げるミュージシャン・芦田春樹をピュアな空気感をまとって演じ、その歌唱力や“ムササビジャンプ”などが話題化した。

 4月期の「ナンバMG5」(フジテレビ系)では、ゴールデンプライム帯(19〜23時)の連ドラに初主演。爆裂ヤンキーと普通の高校生の二重生活を送る難破剛にふんし、その演じ分けやドラマ自体の面白さがSNSで話題に。レビューサービス・Filmarksの「春ドラマ満足度ランキング」で1位に輝いた。

 そして7月期「魔法のリノベ」(関西テレビ、フジテレビ系)では、家業の工務店で営業を担当するシングルファザーの福山玄之介を好演。バディ役の波瑠らとの絶妙な掛け合いで楽しませた。

 「ナンバMG5」は、フジテレビの新ドラマ枠の1発目の作品。その時間帯に主演経験がない自分を起用してくださったということで、嬉しさとともにプレッシャーを感じました。

 でも現場に入ってからは、作品に対する思い入れの方が圧倒的に勝って。本広(克行)監督の演出はやりやすかったし、兄ちゃん役の満島真之介君とは、感情のすべてを預けられる関係になれた。視聴者の方々も熱くて、現場のモチベーションがさらに上がる要因になったりして。だから終わるときは本当に寂しくて、クランクアップで感極まって泣いたのは初めてでした。

 「ナンバMG5」が終わってすぐに入ったのが「魔法のリノベ」です。この作品では、基本的に「受け」のことばかり考えていましたね。玄之介自体が受け身な人間だし、公務店の掛け合いは、小さなボケやツッコミが乱立している。それを処理する立場に身を置く方が、バランスいいと思ったんです。

 この作品は、毎話依頼人の家が違うので、ビフォー&アフターの建て込みも大変で。でも、リノベをテーマにした作品は覚えがない。新しいドラマになったかなと思います。

なぜ今の時代に『破戒』なのか

 7月には、島崎藤村の小説を映画化し、被差別部落出身の教師を演じた主演映画『破戒』が公開。約30館のスタートだったが、「ミニシアターランキング」で2週連続1位を獲得(※)して公開館数拡大につながった。

 11月23日からは、松尾スズキ作・演出の舞台『ツダマンの世界』に出演する。連ドラ連投で露出を高める一方、映画や演劇にも意欲的に出演していく「自由さ」が際立っている。

 『破戒』の話が来たときは、100年以上前の原作で、しかも過去に2度映画化されている作品を、なぜ今映画にする意味があるのかとまず考えました。そこから脚本を読んだり、監督と話し合ったりする中で、人を出自で差別する行為と、最近SNSで行われている、人に石を投げるような行為は、構造的に近いものがあるなと。そんな時代に、新作映画として『破戒』が上映されることには意味があるんじゃないかと合点がいって、お受けした形です。

『破戒』の話が来たとき、なぜ今映画にする意味があるのかとまず考えた
『破戒』の話が来たとき、なぜ今映画にする意味があるのかとまず考えた

 オファーは、全部が全部、自分で考えて受けるわけじゃないです。過去に考えたのは、実話モノで覚悟も必要だった主演映画の『全員死刑』(17年)くらい。最初の頃は、仕事を選んでなかったですからね。マネジャーに言われたものを、「はい」と言ってやるだけ。でも、そうやって任せてきたから、自分の趣味嗜好だけではない作品もやれて、世界が広がったところがあります。

 舞台は、マネジャーと「1〜2年に1本はやりたいね」と話していたんです。でも、今回はコロナの影響もあって、6年ぶり。松尾スズキさんの新作で、阿部サダヲさんと師弟関係を演じられる。それだけでもう、十分すぎるほど興味をそそられました。カオスで愛憎渦巻く、「今年の顔」がやっているとは思えない内容の舞台になると思います(笑)。

 間宮と同じ1993年生まれの俳優には、菅田将暉、神木隆之介、福士蒼汰、竹内涼真、成田凌ら主役級がそろい、「黄金世代」と呼ばれる。彼らと比較すると遅咲きにも見えるが、焦りや悔しさを感じたことはなかったか。

 なかったです。別に焦りも感じなかったし、「悔しい!」みたいなこともなかった。他人と比べて、自分の道を評価することがないんですよね。

 ただ、『帝一の國』(17年)の頃から、自分らの世代で一番売れていて、圧倒的にトップを走っているのが菅田将暉っていうのはいいよね、とは思っていました。彼のことは友人としてもすごく好きだし、俳優としても魅力的で。かつ、売れてからも単館系の日本映画に出たり、ミュージシャンとしても活躍したりと、文化的に面白いことを追求している。俺らの世代のトップランカーが将暉っていうのはうれしいです。

 今後の目標ですか? いや、先のことなんか考えたことないので、分かんないです(笑)。日本映画が盛り上がる俳優のうちの一人であったらいいな、とは思いますね。それが、自分がこの仕事を始めた原動力でもあるので。それに同世代には「大スターになりたい!」じゃなく、「日本映画を面白くしていきたい」という考えの俳優が多い気がするんですよ。友人では仲野太賀とかが特にそうですし。単館系で『愛がなんだ』(19年)が当たったり、最近なら『サバカン SABAKAN』が話題になったりもしている。これからもっと盛り上がって、面白くなっていくんじゃないかなと思っています。

※7月9〜10日、7月16〜17日調査/興行通信社調べ

(写真/大木慎太郎=fort)

(スタイリスト/津野真吾(impiger) ヘアメイク/三宅 茜)

衣装協力/ジャケット8万8000円、パンツ3万9600円(ともにBASE MARK/M incorporated 03-6721-0406)、トップス1万2100円(LAD MUSICIAN/ラッド ミュージシャン 新宿 03-6457-7957) ※すべて税込み
注)このインタビューは、「日経トレンディ」2022年12月号に掲載しています。日経クロストレンド有料会員の方は、電子版でご覧いただけます。
▼関連リンク 「日経トレンディ」(電子版)
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