バズワードとなりつつある「カスタマーサクセス」。大企業での専属部門の新設なども話題だが、実は取り組んでみたものの、思ったほど成果が出ないという声も聞かれる。そんなカスタマーサクセスを正しく理解し実践できるようにするための方法を、カスタマーサクセスプラットフォームを展開するコミューン(東京・品川)のCEO(最高経営責任者)である高田優哉氏が解説する新連載。第1回は、そもそもカスタマーサクセスとは何か、よくある誤解やカスタマーサポートとの違いについて。

顧客満足度を高める点では、カスタマーサポートが極めて重要な要素。対して、カスタマーサクセスは……(画像/Shutterstock)
顧客満足度を高める点では、カスタマーサポートが極めて重要な要素。対して、カスタマーサクセスは……(画像/Shutterstock)

 突然ですが、『サザエさん』に出てくる三河屋さんの三郎さん(サブちゃん)、ご存じですか?

 三郎さんは、時々磯野家の勝手口に現れては、しょうゆなどのさまざまな生活必需品の注文を取り、配達していますよね。カスタマーサクセスは、まさにこれです。

 顧客(カスタマー)が困ったときに呼ばれてから登場する「お問い合わせ対応」ではなく、顧客がこれからぶち当たる課題・困りごとを先読みし、自発的に行動することで先に解決していく。それによって顧客のそのサービスに対する満足度は高まり、そのサービスを継続したり、オプションを付けたりするという行動につながる。この、カスタマーサクセスを三河屋さんに例える話は業界ではよく聞く話で、弘子ラザヴィさん著の書籍『カスタマーサクセスとは何か』(英治出版)にも記されています。

そもそもカスタマーサクセスって何? カスタマーサポートと何が違う?

 近年、ソフトウエア業界を中心に、カスタマーサクセスという言葉が浸透してきました。直訳すると「顧客の成功」という意味ですが、企業が顧客に働きかけて、顧客を成功に導き、結果として事業の成果につなげる取り組みや考え方を指します。

 職種としてのカスタマーサクセスも近年注目を浴びています。顧客と直接コミュニケーションを取るという点では営業と類似していますが、営業との大きな違いは、「売った後」のコミュニケーションが主だということです。営業は「売るまでのコミュニケーション」を重視しますが、カスタマーサクセスは売った後のコミュニケーションを通して、顧客を成功に導くことが目的です。

 このように近年注目され始め、今も急速に広まっているカスタマーサクセス。具体的な活用を考える際には、改めてこの概念や職種がどういった背景で登場・普及してきたのかを振り返ることが非常に重要です。

 似た言葉に「カスタマーサポート」があります。こちらのほうがよく聞く言葉ではないでしょうか。では、カスタマーサクセスと何が異なるのでしょう。

連載を担当するのは、コミューンCEOの高田優哉氏。同社はカスタマーサクセスプラットフォーム「commmune(コミューン)」を展開し、スタートアップから大手まで多様な企業を支援している
連載を担当するのは、コミューンCEOの高田優哉氏。同社はカスタマーサクセスプラットフォーム「commmune(コミューン)」を展開し、スタートアップから大手まで多様な企業を支援している

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