
2021年12月3日発売の「日経トレンディ 2022年1月号」では、「2022-2030大予測」を特集。医療やヘルスケア、トレーニングなどの分野で今後存在感を高めそうなのが、生体情報を計測する衣料「スマートウエア」だ。東洋紡は心拍や呼吸などをセンシングできる「COCOMI」を開発。各種データを組み合わせ、健康管理や労働安全など様々なシーンでの応用を図る。体と心のコンディションを、“服”で常時チェックする未来がやって来る。
※日経トレンディ2022年1月号の記事を再構成
身に着けたものから情報を取得し、データ活用ができるウエアラブル機器。最近はスマートウオッチが普及してきた。そして今後、医療やヘルスケア、トレーニングなどの分野で存在感を高めそうなのが、生体情報を計測できる衣料「スマートウエア」だ。利用者はTシャツやインナー感覚で「着ているだけ」でよく、活用シーンは幅広い。
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繊維大手の東洋紡は、フィルム状導電素材「COCOMI(ココミ)」を開発し、スマートウエアを実現。もともと同社が持っているフレキシブル基板の技術と繊維の技術とを融合したものだ。
COCOMIは厚さ約0.3ミリメートルと薄く伸縮性に優れるのに加え、電子材料向けに展開する導電性ペーストが電気をよく通す。これで作った電極を衣料の裏側の肌に触れる部分に張り付けて、着ている人の心拍や呼吸など生体情報のセンシングに利用する。
「電極材料の工夫により、肌に触れても異物感が少なく、かつ皮膚に密着して体の動きに追従できる」(東洋紡STC・技術開発部の表雄一郎氏)。体に密着していることで、生体データをより精度高く、よりタイムラグ少なく計測できるという。
スマートウエアとしては肌着やブラジャー、スリーブレスシャツを標準シリーズとして製品化。企業の従業員の体調管理、スポーツ関連のトレーニング、医療分野のヘルスケアといった用途に合わせて法人向けに提供するほか、2021年5月には一般向け製品となる「COCOMIサイクリングアンダーシャツ」も発売した。このシャツは、自転車トレーニングの際の心拍計測に利用できる。
生体情報をセンシングするウエアを東洋紡が開発
■COCOMI(東洋紡)
■COCOMIサイクリングアンダーシャツ
ウエアの表面胸部にはコネクターがあり、そこに心拍センサーなどのデバイスを装着。センサーから無線でスマホやタブレット、ノートパソコンなどにデータを転送することで、リアルタイムで記録・確認できる(センサー自体に記録する場合もある)。センサーは市販のものを利用し、様々な製品に対応できるよう、コネクター形状は変えられるようになっている。
肌に直接触れるウエアなので、使った後は洗濯する必要がある。洗濯耐久性は開発で苦労した部分だが、「現在は100回以上洗っても耐えられるまでになっている」(表氏)という。
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