
2021年12月3日発売の「日経トレンディ 2022年1月号」では、「2022-2030大予測」を特集。高い没入感が魅力のVR映画が進化し、視点を検知するアイトラッキング技術と融合することで、ストーリーが“見たい結末”に向かう新体験をもらたす。視聴者の興味・関心によって結末が変わる映画『HERA』は22年中に完成を目指す。眼鏡のように軽く持ち運べるVR機器が発売されれば、より気軽に見られるようになるだろう。
※日経トレンディ2022年1月号の記事を再構成
【2025年はこうなる!】アイトラッキングで個人の感情や状態に沿う作品やサービスができる
まるで登場するキャラクターが目の前にいるような、高い没入感が魅力のVR映画。それがさらに進化し、視点を検知するアイトラッキング技術と融合することで、没入感はそのまま、ストーリーが自然と分岐していく画期的な作品が生まれる。
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VR作品は、2016年に公開された『攻殻機動隊 新劇場版 VIRTUAL REALITY DIVER』など、10年代後半から続々と新作が発表されている。ヴェネツィア国際映画祭ではVR部門も設けられた。世界各国で様々なVR作品が製作されており、新たな市場ができつつある。
■『攻殻機動隊 新劇場版 VIRTUAL REALITY DIVER』
自然とストーリーが分岐し、VRの高い没入感をそのままに
そうした正統進化の中、視聴者の興味・関心によって結末が変わるという異色のVR映画が発表される。映像や体験型コンテンツの監修やデザインなどを行うstoicsenseとWOWOWが、19年春から共同で進めているプロジェクト『HERA』だ。
このVR映画は未来都市「TOKYO」を舞台に、彼女・ルナとヒト型AIアシスタント・HERAの間で揺れ動く、主人公・ニールの姿を描いたSF作品。前述の『攻殻機動隊~』などのVR作品を手掛けた東弘明氏が監督・原作を担う。
結末は大きく3パターン。「AIやXR技術によって他者とのつながり方が大きく変わろうとしている今、仮想世界にもリアルな思いが存在し得るという、ポジティブなメッセージを3つの結末を通して伝えたい」(東氏)。また、結末の分岐に加えて登場するキャラクターの衣装や発言など、細かい分岐も作り込んでいるという。
■HERA(stoicsense、WOWOW)
視聴者の興味・関心によってストーリーが変わっていくマルチエンディング(インタラクティブ)作品は通常の映画でも作られており、近年のトレンドの一つ。例えば、18年にNetflixが配信を始めた『ブラック・ミラー:バンダースナッチ』は大きな話題を呼んだ。Netflixでは21年11月中旬時点で、他にも『アンブレイカブル・キミー・シュミット:キミーVS教祖』や『マインクラフト:ストーリーモード』など、複数のインタラクティブ作品が配信されている。
■『ブラック・ミラー』
■『アンブレイカブル・キミー・シュミット:キミーVS教祖』
ただ、これらは作品の中で選択肢のバナーが現れ、視聴者がどれを選ぶかによってストーリーが分岐していく仕組み。一方で、『HERA』が画期的なのが、その作業をすることなく自然とストーリーが分岐していくことだ。
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