2022-2030大予測 第16回

2021年12月3日発売の「日経トレンディ 2022年1月号」では、「2022-2030大予測」を特集。3次元(3D)CGで作られ、実際の人間と見分けがつかない「バーチャルヒューマン」が普及し、人間代わりの「エージェント」として働き始めるかもしれない。3DCGで人を作る試みはこれまでにあったが、技術の進化によってリアルタイムで動き、AIと融合して自律的に話すように。アナウンサーや販売員などの職業に、次々とバーチャルヒューマンが使われるようになるだろう。

※日経トレンディ2022年1月号の記事を再構成

バーチャルヒューマンが人間代わりの「エージェント」として働き始めるかもしれない
バーチャルヒューマンが人間代わりの「エージェント」として働き始めるかもしれない

前回(第15回)はこちら

 いつも病院で話し相手になってくれる人は、実はバーチャルで実在していない――。3次元(3D)CGで作られ、実際の人間と見分けがつかない「バーチャルヒューマン」の普及によって、10年後にはそんな風景が当たり前になるかもしれない。

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 3DCGで人を作る試みは20世紀からあったが、コンピューターの性能やCG技術が向上した2010年代になって、人間と見分けがつかないCGが徐々に増えてきた。日本ではTELYUKAが17歳の少女をモチーフにした「Saya」を15年に発表。17年にはアイドルオーディション「ミスiD 2018」に、人間のアイドルに交ざってノミネートされて話題になった。

バーチャルヒューマンが「モデル」として活躍するのが当たり前の時代に

 18年には、日本初のバーチャルモデルとしてAwwの「imma」が活動をスタート。既に化粧品ブランドの「SK-II」やポルシェなどの広告に起用されており、モデルとしての実績は十分だ。SNS上で積極的に情報発信するインフルエンサーとしての役割も果たしており、Instagramでは35万人以上のフォロワーがいる。21年9月には、東京2020パラリンピック競技大会の閉会式にも出演した。

 Awwの佐田晋一郎CMOは、モデルとしてのバーチャルヒューマンの魅力を「日本にはアニメ風のキャラクターにも感情移入する人が比較的多いが、世界的には写実的なバーチャルヒューマンの方が親近感を得やすい。また、デジタルネーティブなZ世代はバーチャルヒューマンとの相性が良い。企業にとっては、スキャンダルなど炎上のリスクが低いのも利点」と説明する。

■imma(Aww)
日本初のバーチャルモデルとして、3年以上の活動歴がある。インフルエンサーとして、InstagramやTikTokでの情報発信にも積極的だ
日本初のバーチャルモデルとして、3年以上の活動歴がある。インフルエンサーとして、InstagramやTikTokでの情報発信にも積極的だ

 サントリーグループのバーチャル社員である「山鳥水生(やまとりみずき)」のように、企業が自社専用のバーチャルヒューマンをプロデュースする例も増えている。

■山鳥水生(サントリーコミュニケーションズ)
Instagramを通じてサントリーの魅力を発信する「バーチャルヒューマン社員」として起用された。27歳で宣伝コミュニケーション部に配属されているという設定
Instagramを通じてサントリーの魅力を発信する「バーチャルヒューマン社員」として起用された。27歳で宣伝コミュニケーション部に配属されているという設定
■coh(KDDI)
XRや5G技術を組み合わせた体験コンテンツを企画・制作する「au VISION STUDIO」が手掛けた。21年3月には、ARグラスを通してcohのガイドが受けられる実証実験を日本科学未来館で実施
XRや5G技術を組み合わせた体験コンテンツを企画・制作する「au VISION STUDIO」が手掛けた。21年3月には、ARグラスを通してcohのガイドが受けられる実証実験を日本科学未来館で実施
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