2022-2030大予測 第11回

2021年12月3日発売の「日経トレンディ 2022年1月号」では、「2022-2030大予測」を特集。プロ野球界では、球場内外で野球以外のエンタメを充実させる取り組みがトレンド。そうした流れの“究極形”として、エリア一体で新しい過ごし方を提案する「次世代ボールパーク」が生まれる。23年に開業する北海道日本ハムファイターズの新しい本拠地を中心とするボールパークは、教育や交流の場を創出。球場が地域の総合拠点になる。

※日経トレンディ2022年1月号の記事を再構成

試合がない日もにぎわう“究極形”の球場が誕生(c)H.N.F.
試合がない日もにぎわう“究極形”の球場が誕生(c)H.N.F.

前回(第10回)はこちら

 試合が無い日にも多くの人でにぎわい、思い思いの時間を過ごす。球場が野球を見る場という枠を超え、地域の教育や観光に欠かせないスポットになる。

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 既にプロ野球界では、球場内外で野球以外のエンタメを充実させる取り組みがトレンド。例えば、2012年には横浜DeNAベイスターズが、横浜スタジアム外にビアガーデンを設置し、球場外のにぎわいをつくった。この成功もあって、19年には1試合平均動員数3万人超と、10年間で約2倍になった。16年には東北楽天ゴールデンイーグルスが、楽天生命パーク宮城レフト側後方に遊園地を設置。こちらも以降、観客動員数を伸ばした。

■横浜スタジアム「ハマスタBAYビアガーデン」
名称や形式を変えながら開催。駅やオフィス街に近い立地で、周辺を通るビジネスパーソンなどの呼び込みに成功(写真は18年のもの)
名称や形式を変えながら開催。駅やオフィス街に近い立地で、周辺を通るビジネスパーソンなどの呼び込みに成功(写真は18年のもの)
■ 楽天生命パーク宮城「スマイルグリコパーク」
16年から、レフト側の外野スタンドに、メリーゴーラウンドもある遊園地を設置。ここからの野球観戦も可能(写真は18年のもの)
16年から、レフト側の外野スタンドに、メリーゴーラウンドもある遊園地を設置。ここからの野球観戦も可能(写真は18年のもの)

野球以外のエンタメを充実させる球場の進化が近年のトレンドに

 そうした流れの“究極形”として球場外までつくり変え、エリア一帯で新しい過ごし方を提案するボールパークが生まれる。その第1弾といえるのが、大規模な改修を伴ったボールパーク化を進め、21年に開業した埼玉西武ライオンズの本拠地・メットライフドームだ。

 子供が遊具で遊べるプレイフィールド、様々なクラフトビールやグルメを提供するテークアウト専門店、野球を観戦しながら利用できる大型フードエリアなどを球場外に設置。そして1塁側と3塁側でチケットを持っている側しか入れなかった仕組みを見直し、外周エリアを広く設けて1枚のチケットでどちらへも入れる回遊性をつくった。

■メットライフドーム
大規模な改修でボールパーク化(c)SEIBU Lions
大規模な改修でボールパーク化(c)SEIBU Lions
テイキョウキッズフィールド
テイキョウキッズフィールド
約1000平方メートルで高さ5.5メートルのローラースライダーやアスレチックを設置。授乳エリアなどを備えた、屋内で子を遊ばせられる場所もある(c)SEIBU Lions
アメリカン・エキスプレスプレミアム ラウンジ
アメリカン・エキスプレスプレミアム ラウンジ
座席に加えて「ブッフェエリア」「バーエリア」が一体となった総収容人数483人のラウンジ。バックネット裏のエリアとして12球団最大で、リッチな観戦体験ができる(c)SEIBU Lions

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