
2021年12月3日発売の「日経トレンディ 2022年1月号」では、「2022-2030大予測」を特集。いわゆる「空飛ぶクルマ」と呼ばれるエアモビリティーが実用化に向けてラストスパートに入った。日本国内では、25年4月に開幕する大阪万博の目玉の一つとして、大阪府や国が開発を後押し。その先の市場獲得を視野に入れ、国内外のメーカーや関連企業が動きを加速させている。
※日経トレンディ2022年1月号の記事を再構成
いわゆる「空飛ぶクルマ」と呼ばれるエアモビリティーが、実用化への離陸に向けラストスパートに入った。サービス開始に王手をかけているのは、いずれも「eVTOL(electrical Vertical Take-Off and Landing)」と総称される、電動で垂直離着陸が可能なドローン型の機体だ。
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急速に開発が進む背景には、都市渋滞の解消や地方都市で消滅していく交通インフラの代替手段としての期待の高まりがあり、自動車開発で先行するバッテリーやセンサーの高性能化、ドローン技術の発達などが現在の活発な開発合戦を可能にした。脱炭素化の大きな流れも受け、航空機や自動車の大手メーカーから新興テックまで、世界中で300を超える開発プロジェクトがしのぎを削っているという。
日本では2025年の大阪万博に実用化の照準定める
日本国内でも、空飛ぶクルマを実際に見たり乗ったりできる日は、意外と早く訪れそうだ。2025年4月に開幕する大阪万博の目玉の一つとして、大阪府や国が開発を強く後押ししているからだ。飛行のためのインフラ整備なども含め、国内外の様々なメーカー、関連企業が大阪万博での飛行実現と、その先に日本での市場獲得を視野に入れ、動きを加速させている。
機体の開発は、国内ではホンダ、川崎重工、東大発ベンチャーのテトラ・アビエーションなど複数社が進めるが、先頭を走るのがSkyDriveだ。
同社は20年8月に、国内では初となる有人でのテスト飛行の様子を公開した。開発した試験機「SD-03」は、プロペラを二重反転にすることで、長さ・幅ともに約4メートルに抑えている。「離着陸にヘリポートが必要な大きさの機体が多い海外メーカーに対し、日本ならではのコンパクトで扱いやすい空飛ぶクルマの開発で差別化を狙う。将来的にはコンビニの駐車場など狭い空間でも離着陸できる、世界最小の2人乗り機を開発し、完全な自動運転化を目指す」(同社代表の福澤知浩氏)
■SD-03(SkyDrive)
SkyDriveは21年9月に、空飛ぶクルマの実用化に向け、大阪府・大阪市と連携協定を締結。10月には万博会場となる夢洲から近い大阪港中央突堤の上空を、空飛ぶクルマの開発技術を応用した、同社の全幅2メートル近い大型の荷物運搬用ドローンが試験飛行し、話題を呼んだ。
目下の課題は25年の大阪での事業開始を目指し、航空法に基づく安全・環境基準に適合していると、型式証明を得ることだ。21年10月末に国交省に申請し、空飛ぶクルマとしては初めて受理された。今後、開発と並行して審査を進めていくことになる。
【2030年はこうなる!】空飛ぶクルマの自動運転やオンデマンド運航が始まる

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