
2021年12月3日発売の「日経トレンディ 2022年1月号」では、「2022-2030大予測」を特集。水資源が豊富にあると予想される月面付近に「月面タウン」が誕生する。地球から月への出張が増え、観光旅行者の往来が頻繁になる――。2040年代には旅行船などに乗って年間1万人の観光客が訪れるようになるだろう。
※日経トレンディ2022年1月号の記事を再構成
かつて冷戦下で国威発揚の場として注目された月をめぐり、世界各国がしのぎを削っている。月に注目が集まるのは、2010年代後半に、相当量の水が氷の状態で存在することが確認されたから。水があれば酸素と水素に分解し、酸素は人の呼吸に、水素は輸送船・探査車の燃料や人が生活するための発電に使える。“水素スタンド”で燃料補給できるようにすれば、火星などに向かう際の経由地としても機能する。
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月ビジネスで先行するのは米国で、スペースXは23年に月の周回旅行を計画。米航空宇宙局(NASA)が中心となって進むアルテミス計画では、25年以降に人類を再び月面に降り立たせる。月面基地も建設する予定で、こちらは中国やロシアも同様のプランを発表していて、競争の激化が予想される。
人類を月に再び戻し、継続的な探査を断行
■アルテミス計画(NASA)
一方、日本勢も負けてはいない。例えばトヨタ自動車は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と、月面を有人走行するモビリティーの研究に着手。産学官が連携して立ち上げたスペースフードスフィア(東京・墨田)も、月面での食料工場稼働に向けて動く。そうした月面での活動を支えるのが、宇宙ベンチャーのアイスペース(東京・中央)だ。地球─月輸送サービスや探査でサポートする。
■ルナ・クルーザー(トヨタ自動車など)
■超高効率植物工場(スペースフードスフィア)
同社は自社開発の月面着陸船と探査車を運用。着陸船は地球からロケットで打ち上げて、各国政府や研究機関、民間企業から受託した探査車やロボット、機器などの“荷物”を月面に運ぶ。22年後半に日本初の月面着陸を予定し、24年度から年2回、27年度以降は年3回の頻度で輸送ビジネスを手掛ける。こうした地球─月輸送サービスに取り組む企業は海外にもあり、月面に様々な物資が届くようになる。
日本で初めて、アイスペースの着陸船が月面に
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