
2021年12月3日発売の「日経トレンディ 2022年1月号」では、「2022-2030大予測」を特集。最先端技術として注目されてきた空飛ぶクルマや培養肉など、ライフスタイルを激変させる近未来が、生活シーンのあちらこちらで姿を現し始める。「能力ボーダーレス」「極端オンデマンド」「住むところ無限」という3つのポイントから、2030年の世界を指し示す。
※日経トレンディ2022年1月号の記事を再構成
2021年10月、米Facebook(フェイスブック)による社名変更のニュースは、世界中で驚きを持って受け止められた。新会社Meta(メタ)の新たな軸足は、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)の技術を駆使したメタバース事業。没入体験や現実世界では不可能なことを、離れた場所にいる人と楽しめるようにするという。
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消費者のライフスタイルに与えるインパクトは大きい。ただ、メタの事例は一例にすぎない。これまで最先端技術として注目されてきた空飛ぶクルマや細胞由来のステーキなども含め、ライフスタイルを激変させる近未来が、生活シーンのあちらこちらで姿を現し始める。
【ポイント1】能力ボーダーレス
2030年、世界はどうなっているのか。ポイントは3つある。1つ目は、生まれ持つ素質や身体機能、あるいは経験の有無による個々人の差が薄れていく「能力ボーダーレス」。分かりやすいのが「着るロボット」で、パワーアシストスーツとデータ化したスキルを組み合わせることで、初心者が経験者のように振る舞える。開発を進めるATOUN(あとうん)によれば、例えばDIYの初心者でも道具を適切に使いこなせるという。
■キーワード/着るロボット
あるいは「スポーツ練習ツールDX」も新たな未来を感じさせる。データ分析に基づく練習などにより、いわゆる「才能の壁」を乗り越えやすくなる。高性能のカメラとレーダーを搭載した簡易型弾道測定器「Rapsodo(ラプソード)」で得られた詳細なデータは、既に練習の効率性アップに使われている。また、各種スポーツのプレー映像を選手が画面共有して、意見を自由に出し合えるプラットフォーム「SPLYZA Teams(スプライザチームズ)」も普及し始めた。こうした新ツールを使えば、チーム全体の実力を底上げしやすい。今後、強豪チームとの差はどんどん縮まっていくはずだ。
■キーワード/スポーツ練習ツールDX
■キーワード/嗅覚センサー
■キーワード/アルゴリズムトレード
パーソナライズが食の分野から広がる
【ポイント2】極端オンデマンド
2つ目のポイントに挙がるのは、「極端オンデマンド」。これまでもパーソナライズを打ち出し、消費者一人ひとりに合わせるとうたう商品やサービスはあったが、豊富な種類からのオリジナルの組み合わせ程度にとどまった。しかし30年のパーソナライズは究極形に近い。食の分野で先行し、ルナロボティクスは3Dフードプリンター技術を使って、食べたい味に仕立てられる未来を描く。うまくいけば、「実家の味」も食べられるようになる。
■キーワード/3Dフードプリンター
あるいはAIオンデマンド交通。移動したいときにアプリを使うと、最寄りのピックアップ地点が示され、乗り合いバスがやって来る。乗り物側の都合に合わせる必要は無く、乗車料金もタクシーより抑えられる。とりわけ、過疎化により公共交通が消滅の危機に立たされる地方で救世主になり得る。
■キーワード/AIオンデマンド交通
■キーワード/アイトラッキングVR映画
【ポイント3】住むところ無限
3つ目が、「住むところ無限」。冒頭の通り、メタの参入宣言でメタバースがARやVRと組み合わせて一大市場へと急成長するのは必至だ。そして、リアルの世界では人類が再び月へ。現在、世間で多くの人が注目しているのは月の周回旅行だが、ここにきて月面を探索する動きが活発化。現地に住んだり、遊びに行ったりするまでの道筋がしっかりと見え始めている。
■キーワード/XRメタバース
■キーワード/月面タウン
その他、注目技術
●2030年の世界を示す3つのポイント 着るロボットで能力ボーダレス
●「3Dフードプリンター」で食を個別最適化 未知の料理も
●「培養肉ステーキ」が一般化 赤身肉がスーパーに並ぶ
●人命救助する「昆虫サイボーグ」 災害現場を数百匹で捜索
●勝敗を予想して楽しむ「ファンタジースポーツ」がブレイク間近
●農業体験にキャンプまで、年中にぎわう「次世代ボールパーク」が登場
●「月面タウン」が現実のものに 1000人の生活が始まる
●がんや認知症などに対する医療を「ナノマシン」が進化
●「空飛ぶクルマ」が新たな交通手段に 2025年の大阪万博で飛行目指す
●キャッシュレスの次は、手ぶらで「顔認証決済」 観光地で実験進む
【2022年のヒットをつくる人】
●成城石井社長 原昭彦氏「オリジナル性に富んだ商品は直感から」
●ファミリーマート専務 塚本直吉氏「DX推進室の整備でヒット連発」
●スマートバンクCEO 堀井翔太氏「キャッシュレス家計管理のニーズを掘り起こす」
●アサヒコ事業部長 池田未央氏「夢は宇宙食も手掛ける豆腐メーカー」
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