
インターブランドジャパン(東京・渋谷)グループのC Space Tokyoは2021年12月6日、「顧客体験価値(CX)ランキング2021」を発表した。1位は「星野リゾート」で、2位に「ワークマン」、3位には「サントリー」が入った。
同ランキングはCX調査に基づいた「CXスコア」を数値化して順位付けしたもの。19年にスタートし、3回目となる。
一般的な顧客満足度調査などと異なるのは、企業視点でなく顧客視点で調査していること。方法は、一般消費者にまず「顧客の気持ちや求めることをよく理解している」「顧客の気持ちや求めることをあまり理解していない」ブランド/企業をそれぞれ頭に思い浮かべてもらい、参加者はそれらのブランドを、「顧客が求める体験価値の5要素」(「私向けのものだと思える」「私にとって意味がある」「オープンで、正直である」「私の立場で考えてくれる」「いい気分にさせてくれる」)を具体的な項目に分解した21項目で評価した。
その評価をもとにCXスコア(-10~+10)を算出している。調査は季節要因の平準化を図るために21年6月と10月に実施し、インターネットモニターに登録している全国18歳以上の一般個人男女1万507人が対象(20年は3626人)。35人以上から想起されたブランドのみをランキングの対象としている(20年は12人以上から想起されたブランドが対象)。
21年の1位は「星野リゾート」で、20年の16位から躍進。コロナ禍にありながら温泉旅館「界」や都市観光ホテル「OMO」など新施設を続々オープンさせているのに加え、メディアでの積極的な情報発信もブランドを想起させる要因になっている。2位は「ワークマン」で、激安&高機能という独自のポジションを築き上げ、ここでしか買えない商品が支持された。
3位の「サントリー」は顧客ニーズを理解した商品展開に加え、「水と生きる」という企業メッセージを軸に、水源である森林の保全活動や省資源などの取り組みが支持されている。4位の「帝国ホテル」は月額36万円で「ホテルに住まう」新サービスが大きな話題となり、即日満室になった。
また、トップ20のうち5ブランド(「ワークマン」「ニトリ」「モスバーガー」「丸亀製麺」「Google」)が20年のトップ50圏外からランクイン。「20年はコロナ禍への対応がポイントだったが、21年は顧客の意識がアフターコロナに向かっている印象」と、インターブランドジャパンの並木将仁社長兼CEO(最高経営責任者)は分析する。
そんな中、トップ20のうち9ブランド(「星野リゾート」「サントリー」「任天堂」「ANA」「味の素」「ディズニーランド」「ファンケル」「JAL」「コメダ珈琲店」)が20年に続いてトップ20にランクインした。環境の変化に影響されずに高い顧客体験価値を維持しているといえる。
年代別で評価の高いブランドが異なり、18-29歳は「ディズニー」、30代は「スターバックスコーヒー」、40代は「帝国ホテル」、50代は「サントリー」、60代以上は「コストコ」がトップ。幅広い年代(2年代区分)でトップ5に入ったのは、「星野リゾート」「スターバックスコーヒー」「花王」「楽天トラベル」「高島屋」の5ブランドのみ。18-29歳と30代で「星野リゾート」、18-29歳で「高島屋」が上位に、40代で「帝国ホテル」、60代以上で「コストコ」がトップに入っているのが意外なところだろう。
地域別のトップは北海道・東北が「Google」、関東が「丸亀製麺」、中部が「星野リゾート」、近畿が「高島屋」、中国・四国が「ユニクロ」、九州・沖縄が「サントリー」となっている。
次回(12月7日公開予定)からは各ブランドのスコアの詳細や回答者のコメント内容から、上位ブランドが評価された理由を探っていく。