※日経エンタテインメント! 2021年12月号の記事を再構成
フォロワー数で見たら、タレント・著名人にはおよばないが、テレビ番組でSNSを活用するケースは広がっている。視聴率だけで番組人気を判断するのが難しくなっている今、新たな指標になる可能性も。現状を明らかにするとともに、No.1成功例を紹介する。
著名人のコミュニケーションメディアとして欠かせないSNSだが、テレビ番組も“公式”として、以前から積極的に使用してきてはいる。近年のフォロワー数が特に良かった番組をInstagramで挙げると、『今日から俺は!!』(18年)が66万3000人、『あなたの番です』(19年)が66万4000人など。『恋はつづくよどこまでも』(20年)は108万人にまで達した。
作品のヒットにより、ドラマでの成功例はあったが、それほど目立つことがなかったのが、レギュラーで放送されているバラエティ。出演者のファンは一定数フォローするとして、毎週のオンエアで生活になじんでいるからか、特別な盛り上がりはなかった。
そんななか、にわかに注目されたのが『家事ヤロウ!!!』(テレ朝系)だ。19年9月にInstagramを開設し、20年6月にはフォロワーが80万人を突破。2カ月後の8月には、それまで日本一だった『恋つづ』の108万人を超え、テレビ番組として日本一となった。その後もフォロワー数を伸ばし、現在は227万人超と、独走状態が続いている。
では、他のバラエティのSNSの現状の人気はどうなのか。InstagramとTwitterのフォロワー数を調べたのが下の表だ。Instagramから見ていくと、2位の『I LOVE みんなのどうぶつ園』(日テレ系)が22万281人、3位の『あざとくて何が悪いの?』(テレ朝系)が20万7949人で、いかに『家事ヤロウ!!!』が突出しているかが分かる。ただ、10位以下になるとフォロワー数は10万人以下になるため、ここに挙がってきている番組はうまく使えている例だろう。
ロケ先などの楽しい1コマ
基本、番組告知はベースにあるとして、使い方には個性が出ている。『みんなのどうぶつ園』は、かわいくて癒やされる動物の写真や動画を、『あざとくて~』は、注目の若手俳優を起用した、あざとい振る舞いをふんだんに入れたミニドラマ“あざと連ドラ”のキャラクター紹介をするなど、番組内容からもビジュアルで引きつける要素が多く、Instagramと相性が良い。4位の『東野・岡村の旅猿』や5位の『世界の果てまでイッテQ!』(共に日テレ系)、9位の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレ東系)は、ロケ先での旅の1コマが楽しい。『1億3000万人のSHOWチャンネル』(日テレ系)はコメント数が多いのが特徴。『家事ヤロウ!!!』にも通じるが、7位の『パパジャニWEST』(TBS系)や10位の『満点☆星空レストラン』(日テレ系)は、料理レシピを積極的に公開している。8位の『突然ですが占ってもいいですか?』(フジ系)は、プレゼントで開運の待ち受け画面をアップすることも。
Twitterのランキングでは、Instagramでも6位に入っている『SHOWチャンネル』が53万1150人で1位。1万以上の「いいね」が平均して付いており、番組の強さがうかがえる。約34万人で2位の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)や、28万人で4位の『アメトーーク!』(テレ朝系)は純粋な告知だが、爆発的に話題になる回が定期的にあり、お笑い好きはフォローしておきたい番組。3位には約33万人で『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)が入った。他のジャニーズ勢では、Instagramで2位の『みんなのどうぶつ園』が5位。関ジャニ∞の番組は6位と8位に入った。なお、『関ジャム完全燃SHOW』(テレ朝系)はバラエティと見なしたが、アーティスト本人による拡散という意味で有利な音楽番組は対象外とした。ちなみに、『ミュージックステーション』(テレ朝系)はフォロワー数143万人を超えている。7位の『バナナマンのせっかくグルメ!!』(TBS系)は、紹介した店の情報などを補完。9位の『有吉の壁』(日テレ系)と10位の『有吉ぃぃeeeee!』(テレ東系)は、YouTubeも展開している。『有吉の壁』(YouTubeフォロワー約37万人)は未公開ネタや、ロケバスで移動中のトークを公開し、『有吉ぃぃeeeee!』(同約29万人)ではゲームをノーカットで届けており、ツイッターから積極的に誘導している。
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