未来の市場をつくる100社 2022年版 第16回

最短1分で単発アルバイトの求人掲載ができ、最短7秒でマッチングが完了──。隙間時間で働きたい人と人手が欲しい企業を一瞬でマッチングするアプリ「タイミー」は、リリースから3年で登録ユーザーが200万人を超えた。Z世代の経営者が目指すのは一人ひとりの可能性を広げる働き方だ。

タイミーの小川嶺社長
タイミーの小川嶺社長

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社名:タイミー(東京・豊島)
設立:2017年8月(18年8月~サービス開始)
製品/サービス:すぐ働けるスキマバイトアプリ
市場:隙間時間で働きたい人と人手が欲しい企業を瞬時にマッチング

 「やりたいことができない」「自分には向いていない」と感じたときに、無理をしてその場にとどまらず、離職する。Z世代の若者にはそんな傾向があるといわれる。「石の上にも3年」を潔しとする“おじさん世代”などから見ると奇異に映る。

 「Z世代、ミレニアル世代などといわれるが、個としての生き方を意識する世代だと思う」。現在24歳で、自らもZ世代。働きたい人と企業をマッチングするアプリを2018年から展開するタイミー(東京・豊島)の小川嶺社長は、若者と上の世代で、働き方に向けた考え方に大きなギャップがあると説明する。

 もはや終身雇用型で年を取れば年収が上がるという期待はできず、個人が自分のキャリアや本当にやりたいことを考えなければならない時代になっている。だからこそ、今この場でキャリアとして魅力を感じられないのであれば、その仕事を続けることは得策ではない、とZ世代は考えるのだ。

 小川氏自身もこんな経験がある。起業を夢見て、18歳からトリマーと犬の飼い主のマッチングサービスを手掛けるスタートアップなどでインターンを重ねた後、20歳で立ち上げたアパレル会社がうまくいかず、一度たたむ選択をした。残ったのは親からの借金だ。一刻も早く返済したいとアルバイトをしたが、応募から面接、報酬の受け取りまでに時間がかかった。

 冷凍倉庫や飲食店、上場企業での派遣社員。どの仕事も続かない。長くても1カ月半だった。実際に働く段になってシフトを削られたり職場環境がイメージと違ったりする。働いてみないと分からないことも多い。ミスマッチの結果、短期間で辞めてしまうことに対し、不適合者と見なされることもあった。

 タイミーの事業アイデアが生まれたのは、この時の経験によるものだ。もっと簡単な手順で働くことができないか。もっとすぐに働けてお金がもらえないか。まず試してから本格的に働くことができないものか。 “お試しバイト”として短時間勤務を経て、現場が合うかを分かった上で勤務できれば、ミスマッチがなくなり、離職率も下がる。

 プログラミングを学び、自らプロトタイプを作った。資金や技術面の協力はサービスの走り出しと共に徐々に得られたが、再度の失敗は許されない。アプリで重視したのは使いやすいUI(ユーザーインターフェース)だ。日付をタップして働きたい仕事を見つけ、詳細をチェックして応募する。ここまでをストレスなく操作できるデザインにこだわった。

仕事検索がしやすいアプリ画面
仕事検索がしやすいアプリ画面

 ユーザー(18歳以上、年齢上限なし)はアプリ内で勤務地、職種や時間帯、報酬などを選択し、求人枠に応募すればその日に働くことができる。報酬は、振込手数料なしで即日アプリ内に反映される。一方、人手が必要な企業は、管理画面から時間帯や求めるスキルを指定すると、すぐにアプリ上での求人募集を開始できる。掲載料は一切かからない。ワーカーが働いて初めて、日当報酬額の30%分の利用料をタイミーに支払う仕組みだ。

 2018年のサービス開始から3年で、登録ユーザーは200万人、利用企業は2万3000社を超えた。追随するサービスもあるが、「サービス開始が早かったのでクライアント数、ユーザー数、アプリの作り込みの点で2歩くらいリードしている」(小川社長)

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