未来の市場をつくる100社 2022年版 第10回

コロナ禍の中で、人材派遣サービスにもテレワーク化の波が広がっている。キャスター(宮崎県西都市)が展開する「CASTAR BIZ(キャスタービズ)」はフルリモートワークによる業務支援人材を提供するサービス。採用、人事、経理、営業とあらゆる業務がリモート人材で運営される会社の近未来像も見えてきた。

オンラインアシスタントサービスを展開するCASTER BIZ
オンラインアシスタントサービスを展開するCASTER BIZ

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 菜園の水やりを済ませて、川のせせらぎを聞きながらゆったり朝食。9時にはノートパソコンを開いてチャットで“出社”する。クライアントA社の入社希望者にオンライン面談をしてフィードバックの資料を作成する。午後はB社のリモート会議に参加し、新規採用要件をすり合わせ。休憩時間に犬と川辺を散歩した後は、C社の採用プランを練る──地方で暮らしながら、リモートで自らのスキルを提供する。そんな新しい働き方が実現できるオンラインアシスタントサービスが「CASTER BIZ」だ。

 CASTER BIZを展開するキャスターは、採用、人事・労務、経理、営業、事務などフルリモートで勤務する各分野のプロを抱えている。「フルリモートワークで社員採用となると、当時は国内にうちしかなかった。最初の求人で450~500人と、想定よりもはるかに多い応募があった。話を聞けば聞くほど稼働に見合った就労環境がないことが分かった」。2014年の創業当時をキャスター代表の中川祥太氏はこう振り返る。

 起業のきっかけは、中川氏が前職でネット監視業務のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング、ある業務を一括して社外の専門業者に委託すること)を手掛ける会社に勤めていたときの経験だ。クラウドソーシングの会社を介してリモートワーカーと仕事をする中、「彼らの時給が最低賃金をはるかに下回っている」という実情を知った。

 これでは仕事が続かない。優れた能力がありながら就労環境が安定しないことで離職者が後を絶たず、BPO業界は人手不足が続いていた。この構造に疑問を感じていたところ、同じ課題解決を目指す投資家から出資の話があったという。

 キャスターでは現在、1000人超のメンバーがフルリモートワークで、2500社以上のバックオフィス業務を請け負っている。入社希望者は増え続け、倍率は約100倍に上るという。キャスターのメンバーは86%が女性で、多くは地方在住者だ。都市部に本社機能が集中し、地方にはホワイトカラーの仕事がほとんどないという日本の社会構造が理由だ。

社名:キャスター(宮崎県西都市)
設立:2014年9月
製品/サービス:オンラインで提供する人材総合サービス
市場:地域に縛られず、専門性やスキルの高い人材の活用を促進

 同社はかつてオフィスを東京・渋谷に構えていたが、21年6月に閉鎖。以前から本社は宮崎県西都市に移転しており、同市にカフェ×コワーキングスペース「tomosite」を設置するなど、リモートワークをしながら、地域との交流が持てる拠点づくりを強化している。

 キャスターでは「働き方」が自由だ。雇用形態は希望に応じて、47%が直接雇用、53%が業務委託。こうした契約形態で役割に差をつけられることはない。また、 フレックス・時短勤務などの選択肢があり、副業も可能だ。さらに給与は居住地域に関係なく、東京の給与水準を採用している。

 居住地に縛られずに働きたい人々と、人材不足に悩む都市部の企業とをマッチングする取り組みが成功し、「立ち上げ以来、売り上げは年平均で50%増」(中川氏)と創業以来の業績は右肩上がりだ。

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