
コロナ禍でEC市場が急成長を遂げる中、新種のECサービスが台頭し始めている。専門家やインフルエンサーに相談しながら、“失敗しない”買い物ができるソーシャルコマースだ。ECの買い物体験を大きく変える、その仕組みとは。
クラウドファンディングサイトを通した応援購入が盛んに行われるなど、コロナ禍で急成長しているEC。そんな中で「ソーシャルコマース」という新機軸を打ち出したのが、2020年3月にEC-GAIN(イーシーゲイン、那覇市)が始めたECサービス「pippin(ピッピン)」だ。
pippinでは、インテリアコーディネーターや酒匠といった資格を持つ人、キャンプやコスメなど特定のジャンルのマニア、SNSで影響力のあるインフルエンサーなど、「公認アンバサダー」と呼ばれる専門家が自分専用のページを持てる。その専用ページで専門家自身が実際に使って良かったお薦め商品などをコメント付きで掲載、商品に関心があるユーザーへアピールできる仕組みだ。
一方、ユーザーはそれぞれの専門家の専用ページや商品コメントを見て購入を検討できるのがメリット。迷ったり悩んだりしたときは、専門家にチャットで相談することも可能だ。購入を決めたら、商品ページに設置されたリンクをクリックするとAmazonや楽天市場などのショッピングサイトへ遷移し、そこから商品を注文できる。
pippinに掲載されている商品は大きく分けて2種類ある。1つは、EC-GAINと契約した事業者による「独自商品」だ。BASEやSTORES、Shopifyといったショッピングカートサービスを活用した事業者のECサイトに飛ぶか、pippinの独自カートで購入することになる。もう1つが、Amazonや楽天市場など大手ショッピングモールから購入する「ゼネラル商品」だ。
pippinを通じて独自商品が売れた場合は、事業者がEC-GAINに10%の手数料と公認アンバサダーに報酬を支払う仕組み。一方、ゼネラル商品の場合は、モール側からEC-GAINがアフィリエイトの成果報酬を受け取り、そこからアンバサダーへの報酬が支払われる。
こうしたユニークなビジネスモデルを持つpippinは、サービス開始から僅か1年半で登録した専門家が3500人を突破、流通総額は1億3000万円に達している。急成長の秘密は、購入ユーザーと公認アンバサダー、事業者の間で「三方よし」の関係を作り上げたことにある。
設立:2016年4月
製品/サービス:ソーシャルコマース「pippin(ピッピン)」
市場:専門家に相談できる新しい買い物体験のECサービス

月200万円売り上げる“強者”も
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