
売れるサイトづくりに欠かせない「CRO(コンバージョンレート最適化)」をテーマにした本特集。第2回はCROの代表的なツールである「Web接客ツール」と「ABテストツール」を取り上げる。ツールを使いこなすには、「現状分析」「目的の明確化」「顧客理解」という3つのポイントを念頭に置くことが重要になる。これらのポイントを踏まえた上で、2つの必勝パターンと併せて解説していこう。
特集第1回では、コンバージョンに近い「決済(個人情報入力)」で有効な施策である「EFO(エントリーフォーム最適化)」の紹介と、具体的な活用法を解説した。そのEFOが一定の成果を上げ、さらにCROを進めていく際の注意点は一つ。「成果が可視化しやすい施策」を実施することだ。
「フォームと“距離”が遠い施策、つまり購買プロセスの初期段階での施策を推奨する。距離が近いと、どちらの施策が効果的だったか分かりにくくなるからだ」とCRO支援のSprocket(東京・目黒)の深田浩嗣社長は説明する。購買プロセスの初期段階であるサイトのトップページや商品詳細ページを対象とした施策に取り組むと良いだろう。そこで、幅広いページで活用できる「Web接客ツール」や「ABテストツール」の出番となる。
Web接客ツールは滞在時間やページのスクロールなど、Webサイト上の行動データから訪問者が悩んだり、迷ったりしている兆候をリアルタイムに把握し、必要な情報をポップアップ(ページ上に表れる小さな画像)で提供して購買を後押しできるツールだ。
例えば、特定の商品ページの滞在時間が一定に達した訪問者に、送料や商品に関する不安を解決するFAQコンテンツを表示する。実店舗で困りごとを抱えていそうな顧客に対して店員が声をかけて解決する接客を、ネット上でも疑似的に実現するためのツールだ。Web接客ツールはポップアップという性質上、載せられる情報に限りがあるため、解決策を提案して誘導する活用法に向く。本記事ではSprocketのツールを取り上げる。
一方、後者のABテストツールは、サイト訪問者にとって購買体験の阻害要因になっている点に改善を施したページをつくり、システムで従来のページと出し分けることで効果を比較できるもの。例えば、ページの上部のコンテンツが静止画の場合と、動画の場合を出し分けて、どちらがコンバージョンにつながりやすいかを比較するといった方法で活用する。
仕組みとしては現在のページの上から、新たなデザインのページを“お面”としてシステムでかぶせるようなイメージだ。実際にページを刷新するわけではないため、効果がなければツールの機能を止めるだけで元に戻せる。ページのUI(ユーザーインターフェース)やコンテンツの構成を抜本的に変更したい場合は、ABテストツールが有効だ。こちらはKaizen Platformのツールを題材に活用例を紹介する。
現状分析で改善すべきページを見極める
これらのツールは、思い付きでやみくもに施策を実行しても、その真価は発揮できない。使いこなすためには「現状分析」「目的の明確化」「顧客理解」という3つのポイントを念頭に置くことで、成功の確度を高められる。
1つ目のポイントは現状分析だ。CROを実施すべきページを見極めることが重要になる。なぜならアクセス数やコンバージョン数が少ないページを改善しても、その効果は限定的だからだ。苦労しても、わずかな成果しか得られない。このような失敗を犯さないためにも、施策に取り組む前に、まず自社のサイトの分析をする。
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