売れる色 2021~2022 第10回

時計の6つのパーツのカラーを選ぶことで、約190万通りの組み合わせの中から世界に1つしかない自分だけの「G-SHOCK」をつくれるサービス「MY G-SHOCK」。これまでのG-SHOCKにはない中間色をラインアップしたのは、コロナ禍を意識したものだという。

約190万通りのカラーの組み合わせの中から自分好みの1本をつくることができるカスタマイズサービス「MY G-SHOCK」。季節やファッション、着用シーンに合わせてユーザー1人で数本つくることも想定している
約190万通りのカラーの組み合わせの中から自分好みの1本をつくることができるカスタマイズサービス「MY G-SHOCK」。季節やファッション、着用シーンに合わせてユーザー1人で数本つくることも想定している

 カシオ計算機は2021年10月20日、同社のWebサイトで新サービス、MY G-SHOCKを開始した。このサービスは、ベゼル(文字盤を囲むリング)やフェース(文字盤)、バンドなど6つのパーツを組み合わせて、自分好みのカラーデザインを施した耐衝撃ウオッチG-SHOCKをつくれるというものだ(価格は税込み1万5400円~)。

前回(第9回)はこちら

 ベースとなるモデルは、1983年発売のG-SHOCKの初号機「DW-5000C」のデザインを引き継ぐ「DWE-5610」。選べる色の種類は、ベゼル19色、ロングバンド19色、ショートバンド19色、バックル2色、バンドループ20色(トリプルループは19色)。それに白・黒のガラスと通常の液晶・反転液晶を組み合わせた7種類のフェースを用意した。顧客はそれぞれ好きな色を選んで組み合わせる。計算上、約190万通りの組み合わせが可能で、さらに3つのループで構成されるトリプルループを選択し、それぞれ違う色を選ぶと、なんと約6億5800万通りの組み合わせが可能になる。

 MY G-SHOCKを始めるきっかけとなったのは、2020年10月に発売した「DWE-5600CC-3JR」。このモデルには回路基板柄など付け替え可能な3種類のベゼルとバンドを同梱した。デザイン開発統轄部第一デザイン部Gデザイン室リーダーの池津早人氏は、「これがたいへん好評だった。このヒットを受けて、ユーザー一人ひとりが世界で1つだけのG-SHOCKをつくれたら、もっと面白いことになるのではないかと考えたことが、MY G-SHOCKサービスを考案する原点になった」と語る。

MY G-SHOCKを企画するきっかけとなった3種類のベゼルとバンドが交換できる「DWE-5600CC-3JR」(3万800円、税込み、以下同)
MY G-SHOCKを企画するきっかけとなった3種類のベゼルとバンドが交換できる「DWE-5600CC-3JR」(3万800円、税込み、以下同)

 MY G-SHOCKのベゼル、バンド、バンドループの色は特に豊富だ。「当初は7色程度を考えていた。だが、それではカラーを楽しむというコンセプトにしては物足りなく、ワクワク感も弱い。もっと挑戦しないとG-SHOCKらしさが出てこないと考え、思い切って増やすことにした」(池津氏)

 19色の中には、「ファーストイエロー」「ファーストグリーン」「ファーストブルー」という印象的なネーミングのものもある。これらの色は、G-SHOCKが北米で1990年前後にブレークしたときの初のカラーモデルだったイエローと、次いで発売したブルー、グリーンの3色を取り入れたもので、MY G-SHOCK開始時の限定カラーだ。ほかにレッド、ホワイト、ブラック系などG-SHOCKの定番カラーも多数用意した。

1987年に北米で大ヒットしたG-SHOCK初のカラーモデルのイエローを再現した「DWE-5610-FIRST-YELLOW」(1万6500円)
1987年に北米で大ヒットしたG-SHOCK初のカラーモデルのイエローを再現した「DWE-5610-FIRST-YELLOW」(1万6500円)
91年に北米で大ヒットしたカラーモデルのブルーを再現した「DWE-5610-FIRST-BLUE」(1万5400円)
91年に北米で大ヒットしたカラーモデルのブルーを再現した「DWE-5610-FIRST-BLUE」(1万5400円)
91年に北米で大ヒットしたカラーモデルのグリーンを再現した「DWE-5610-FIRST-GREEN」(1万5400円)
91年に北米で大ヒットしたカラーモデルのグリーンを再現した「DWE-5610-FIRST-GREEN」(1万5400円)

中間色もラインアップ

 「コロナ禍で自宅時間が増えている中、心が落ち着く優しい色がトレンドカラーになるのではないかと考え、『デザートサンド』など通常のG-SHOCKでは難しい中間色も入れた。それらは年代を問わず、ジェンダーレスに受け入れられているようだ」(池津氏)

これまでのG-SHOCKシリーズにはなかった中間色のカラーリングの一例。ベゼルとループは「デザートサンド」、バンドはロング、ショートとも「コースタルサンド」をチョイス(1万5400円)
これまでのG-SHOCKシリーズにはなかった中間色のカラーリングの一例。ベゼルとループは「デザートサンド」、バンドはロング、ショートとも「コースタルサンド」をチョイス(1万5400円)

 MY G-SHOCKのWebサイトには、社外のデザイナーや著名人、社内のG-SHOCKデザイナーが、それぞれの感性やテーマに合わせてデザインしたモデルが掲載されている。それらをそのまま購入するユーザーや、それらをさらにカスタマイズして購入するユーザーもいるという。

G-SHOCKのデザイナーがデザインしたMY G-SHOCK。左から「JUNGLE」(1万6060円)、「PARK」(1万5400円)、「HAZARD」(1万5950円)
G-SHOCKのデザイナーがデザインしたMY G-SHOCK。左から「JUNGLE」(1万6060円)、「PARK」(1万5400円)、「HAZARD」(1万5950円)
ファッションブランド「nonnative(ノンネイティブ)」のデザイナー藤井隆行氏がデザインしたMY G-SHOCK(1万7160円)
ファッションブランド「nonnative(ノンネイティブ)」のデザイナー藤井隆行氏がデザインしたMY G-SHOCK(1万7160円)
東京オリンピックにも出場した、世界で活躍するBMXライダーの中村輪夢氏がデザインしたMY G-SHOCK(1万7160円)
東京オリンピックにも出場した、世界で活躍するBMXライダーの中村輪夢氏がデザインしたMY G-SHOCK(1万7160円)

 ユーザーによっては夫婦で同じカラーデザインのものを2本買ったり、プレゼント用に複数個購入したりする人も多い、と語るのはデジタル統轄部デジタル共創推進部室長の丸憲太郎氏。さらに、「SNSを見ると、いろいろなストーリーに基づいてMY G-SHOCKをカラーリングしているユーザーが多いことに気づいた」とも言う。

 SNSを検索してみると、「ガンダム」や「エヴァンゲリオン」など人気アニメのカラーリングや世界観を表現したり、アイドルグループのメンバーのテーマカラーに沿ったカスタマイズをしたりと、それぞれのユーザーが抱くストーリーをMY G-SHOCKで表現しているケースが散見できる。

 今後はCMF(カラー、マテリアル、フィニッシュ)を強化して新しいカラーや素材、加工を追加していくほか、アパレルメーカーをはじめとするさまざまなブランドとコラボレーションして、MY G-SHOCKのバリエーションをより広げていきたいという。

22年夏は高彩度カラーがヒットと予想

 「サンド系などの中間色は、G-SHOCKとして新たな価値観を表現できる、新鮮な色だった。仮に2022年にコロナ禍が収まったとしても、中間色は定番カラーとして残っていくだろう。同時に、コロナ禍が明けたら気分が高揚するような元気なカラーを求める人も多くなるだろう。夏にはレッドやグリーン、オレンジ系などの高彩度のカラーがヒットするのではないかと思う」(池津氏)

 カシオは21年5月、伝説の鳥「ブルーフェニックス(鳳凰)」をデザインモチーフに、ベゼルやケースにレインボーIP(イオンプレーティング)加工を施した「MTG-B2000PH」を発売した。「実はこれは20年の段階で、21年にはコロナ禍は終わっているだろうと考え、みんなが復活するというテーマでつくったG-SHOCK。コロナ禍が明けたときにみんなの気持ちも内向きから外向きに変わるような、元気なカラーを届けようと考えてデザインした」(池津氏)

2020年に「21年にはコロナ禍が明けているだろう」と想定してデザインし、21年5月に販売したモデル「MTG-B2000PH」(14万3000円)
2020年に「21年にはコロナ禍が明けているだろう」と想定してデザインし、21年5月に販売したモデル「MTG-B2000PH」(14万3000円)

 G-SHOCKというブランドには活動的で元気なイメージがある。22年のMY G-SHOCKも、元気が出そうな高彩度のカラーがヒットするに違いない。

カラートレンド2021~2022 私の見方

カシオ デザイン開発統轄部 第一デザイン部Gデザイン室 リーダー
池津 早人 氏

 コロナ禍で自宅時間が増えたことで、心が落ち着く優しい色がトレンドカラーになるだろうと考え、これまでのG-SHOCKにはないサンド系などの中間色を何色かラインアップした。それらは年代を問わず、ジェンダーレスに受け入れられているが、それがコロナ禍によって消費者の購買行動に変化があったためかどうかは分からない。コロナ禍が明ければ気分が高揚するカラーを求める人が多くなって、22年の夏ごろにはレッドやグリーン、オレンジなどの高彩度のカラーがヒットするのではないかと予想する。

(画像提供/カシオ計算機)

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