
一般社団法人日本流行色協会(JAFCA、東京・千代田)に、2021年の色の傾向と22年の動向について聞いた。同協会でカラートレンドを分析する小木曽珠希氏は、レディスアパレルで目立ってきたグリーン系に注目するほか、文具や家電などにパステル調の色合いが増えている状況を分析。コロナ禍が明け、前向きな気持ちを後押しするきれいな色が増えてくると見ている。

一般社団法人日本流行色協会 カラートレンドR&Dカラープランナー、レディスウェア・メイクアップカラーディレクター
日本流行色協会は、国内生活者の志向やマーケットの動向を独自に調査するほか、グローバルなカラートレンドを選定している「インターカラー」(国際流行色委員会)の情報も基に、各分野の動向に精通した色の専門家が日本の産業に向けた最先端のカラートレンド「JAFCAファッションカラー」を選定、発信している。21年の色の傾向と22年の動向について聞くと、SDGs(持続可能な開発目標)の意識が影響しているという。
──最近の色のトレンドを教えてください。
小木曽珠希氏(以下、小木曽) 日本流行色協会では、レディスファッションが全体の色の傾向が出やすいので定点観測しています。21年は黒系や白系で着こなすベーシックな動きのほか、ベージュ系など明るい色でまとめたり、グリーン系を着たりする傾向がありました。
この中で注目している点は、グリーン系の使い方でした。レディスのファッションでグリーン系が出てくる状況は、これまであまりなかったからです。インパクトが強く、肌に映えないとして、レディスの市場ではグリーン系はあまり売れない色とされていました。
それがコロナ禍の20年に、ピスタチオのようなグリーンが使われている例が出てきたので注目していましたが、21年はグリーン系を使う傾向が、より明確になってきています。ピスタチオやミントグリーンといった優しいグリーン系に加えて、青みが入ったより強いグリーン系を着こなす人も出てきました。
SDGsを背景にグリーンへの抵抗が薄れる
──なぜグリーン系が台頭してきたのでしょうか。
小木曽 SDGsの意識が高まり、エコロジーの基本カラーと呼べる自然色、つまりグリーンやブラウン、ブルーが注目されてきています。高級ブランドもグリーン系を打ち出し、自社がSDGsに取り組んでいることをアピールするようになりました。そうした背景があり、これまでのようなグリーン系に対する抵抗感が、次第に少なくなってきたからでしょう。
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