
ドイツの化学メーカーBASFが発表した2021~22年版の自動車カラートレンド予測で、日本を含むアジア太平洋地域のキーカラーは「MOBIUS(メビウス)」。「ライトブルーと暖かみのあるブラウンの要素を併せ持つ」「見る角度によって変化する」という奥の深い色だ。この色には、コロナ禍を経験した世界の変化が表現されているという
ドイツの化学メーカーBASFは、2021年10月13日、2021~22年版の自動車カラートレンド予測を発表した。このカラートレンド予測は、社会の変化、人々の意識や志向の変化、技術の進展といった世の中の移り変わりをいろいろな事象から分析してキーワードを導き出し、それを複数のカラーサンプルに落とし込んで表現する。自動車メーカーに新車のカラー展開を検討するためのアイデアソースとして利用してもらうことを目的に、毎年発表しているものだ。
トレンドの変化の中には、世界的に共通なグローバルなものもあれば、ある地域特有のローカルなものもある。そこで、このカラートレンド予測では、ローカルなトレンドを表現する地域ごとのキーカラーが設定されている。今回、日本を含むアジア太平洋地域のキーカラーは「MOBIUS(メビウス)」と名付けられた。ちょっと見ただけでは、濃いめのシルバーかガンメタ、よくあるメタリックなグレーに見えるが、実は「ライトブルーと暖かみのあるブラウンの要素を併せ持つ」「見る角度によって変化する」という奥の深い色だ。エッジの部分ではブルーがかったシャープなハイライトが見え、シャドー部には赤みがかったウオームな色が現れる。
相反するものが共存する時代
グローバルなカラートレンド予測のテーマは「SUPERPOSITION(スーパーポジション)」。日本語では「重ね合わせ」と訳される量子力学の用語だ。コイントスすると、表と裏が同時に見えるとともに、その間の状態も見ることができる。正反対のものが共存していて、同時にどちらにもなれる瞬間がスーパーポジションだという。「ゼロか1かのどちらでもない、相反するものが同時に共存したり、どちらでもない中間領域が生まれたり、そんな状況がコロナ禍の影響で一斉に起きて、生活に影響を与えている」。BASFジャパンアジア・パシフィックコーティングス事業部チーフデザイナーの松原千春氏はこう説明する。
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