マーケティングという言葉の華やかさとは裏腹に、企業姿勢を疑うような悪しき事例が頻発しています。マーケティングは何のためにするのか、顧客にどう向き合うべきなのか。「マーケの危機の今、再考すべきこと」という根源的なテーマを特集で取り上げます。5回目を迎える恒例の「マーケター・オブ・ザ・イヤー」も発表します!

【9月の特集】

 「マーケティング」とは何でしょうか。さまざまな解釈がありますが、理解しやすいのは経営学者であるピーター・ドラッカーの言葉です。

「マーケティングの目的は販売を不要にすること」
The aim of marketing is to make selling superfluous.

 究極的には、メーカーが何もしなくても、商品が勝手に売れていく状態。確かにマーケティングの理想ではあると思います。

 では、ただ売れればいいのでしょうか。答えは当然Noです。人が人にモノを売る行為である以上、購入者に対して、何らかのベネフィットをもたらさなければなりません。

 しかしながらここ最近、企業のマーケティング姿勢を疑うような事例が頻発しています。TikTokのステルスマーケティング問題、スシローの「おとり広告」、悪質な調査会社による「NO.1広告」……。吉野家常務による舌禍騒動もありました。共通するのは、「顧客を軽視する姿勢」にあるのではないかと考えます。

 9月の特集の目玉は「マーケの危機 今、再考すべきこと」です。ネスレ日本 元社長兼CEOで現ケイアンドカンパニー代表の高岡浩三氏、博報堂執行役員・エグゼクティブクリエイティブディレクターで博報堂ケトル(東京・芝)取締役・編集者の嶋浩一郎氏、ファンベースカンパニー会長/ファンベースディレクターの佐藤尚之氏ら、そうそうたる方々に語っていただきます。上記の事件簿は対岸の火事ではありません。マーケティングに携わるすべての人々に読んでいただきたい特集です。

マーケティングとは何か、何のためにするのか。すべてのマーケター必読の特集です(写真/Shutterstock)
マーケティングとは何か、何のためにするのか。すべてのマーケター必読の特集です(写真/Shutterstock)

100周年のウォルト・ディズニーの戦略とは?

 イノベーションを起こし、ヒット商品を生み出すのは企業ではない、人である――。この言葉とともに、日経クロストレンド創刊から毎年行っているアワードが、「マーケター・オブ・ザ・イヤー」です。今年で第5回を迎えます。

 過去の大賞受賞者(肩書は当時)は、「ネスレ ウェルネス アンバサダー」の立ち上げをリードしたネスレ日本の津田匡保氏、ワークマン常務の土屋哲雄氏、「檸檬堂」を指揮した日本コカ・コーラCMO(最高マーケティング責任者)の和佐高志氏、「生ジョッキ缶」のヒットをもたらしたアサヒビール マーケティング本部長の松山一雄氏です。数多くのヒット商品が生まれた今年は、どんなマーケターの方々が受賞するのでしょうか。

 「米ウォルト・ディズニー」特集も見逃せません。同社は23年10月に、創業100周年を迎えます。早くも22年9月のファンイベント「D23 EXPO」で、その一端を披露する模様。ディズニーは、アニバーサリーに向けてどんなマーケティング戦略を見せてくれるのか。現地からのリポートをお届けします。

 9月1日~ 

ファミリーマートの店舗集客大作戦
 リアルの“店舗”をメディアとして位置づけ直し、オンラインとオフラインを合わせたマーケティングを駆使してまずは店舗に客を集める。そのうえで、強化した商品の力で店頭での売り上げを増やし、併せて広告収入なども獲得する。店舗に大勢の人が集まる“繁盛店”をつくりながら、今までとは異なる「新しい小売り」を目指し始めたファミリーマート。その具体的な取り組みを検証する。

 9月第1週(5日~) 

マーケター・オブ・ザ・イヤー2022
 イノベーションを起こし、ヒット商品を生み出すのは企業ではない、人である――。新市場を創造した人やエポックメイキングなビジネスモデルを構築した人をたたえるアワードの第5回。革新者は消費者の心理や社会のニーズをどう読み、どのようにしてビジネスチャンスに変えたのか。その軌跡から、未来をつくる一手を解き明かす。

 9月第2週(12日~) 

「マーケの危機」 今、再考すべきこと
 TikTokのステルスマーケティング問題、スシローの「おとり広告」、悪質な調査会社による「NO.1広告」……。企業のマーケティング姿勢を疑うような事例が頻発している。こうした“しくじり”は今に始まったことではないが、多くのマーケ担当者にとって「対岸の火事」ではない。今こそ自身が顧客に向き合う姿勢を問い直すべきではないか。本特集では、広告、商品開発、コミュニケーションなど、多岐にわたるマーケ活動の中で、顧客との関係性をどう築いていくべきか、識者や成功事例を通して改めて考える。

 9月第2週(12日~) 

AIってそういうことか! PFN式活用法
 “文系”ビジネスパーソンが知っておくべき「AIの本質」はこれだ! 「深層学習」で進化した“3つの力”とは? そもそもなぜビジネスに「AI」が必要? AIスタートアップのトップランナーとして知られるプリファードネットワークス(PFN)が総力を挙げてつくり上げた書籍『AIってそういうことか! ビジネスの現場で使えるPFN式活用法』(2022年9月12日発行)のコンテンツを一部公開する。

 9月第3週(19日~) 

D23に見るディズニー「100周年」戦略
 米ウォルト・ディズニーは2023年10月に創業100周年を迎える。その節目まであと1年。同社はファンイベント「D23 EXPO」を2022年9月9~11日に米ロサンゼルスで開催する。本家ディズニーはもちろん、ピクサー、マーベルと傘下スタジオが新情報を披露する。動画配信サービス「ディズニー+(プラス)」も好調。世界屈指のコンテンツ企業が、節目の100年に向けて見せるマーケティング戦略とは。イベント会場からリポートする。

 9月第4週(26日~) 

インクルーシブデザインの可能性
 従来の製品・サービスの対象から漏れていた人々を、デザインの上流から巻き込んでいくインクルーシブデザイン。「極端なニーズ」がきっかけとなり、マジョリティーが気づかないような潜在的ニーズを掘り起こし、より多くの人が使いやすいデザインを見いだす──これまで実現できなかった製品やサービスを生む可能性を秘めたインクルーシブデザインの最前線を追う。

【9月のイベント】

 9月の日経クロストレンド・カレッジは、オルビス社長&ReproのCMOが解説する「LTV向上・3つのポイント」です。

 顧客1人当たりが自社に与えてくれる収益の総量を表す「LTV(顧客生涯価値)」。自社の商品・サービスが顧客に価値を提供し続けられているかを測る指標として、重要度が増しています。

 「LTVは平たく言えば当社にとってのKGI(重要目標達成指標)だ。最終利益と同じぐらい重要な指標になっている」

 化粧品の製造販売を手掛けるオルビスの小林琢磨代表取締役社長は、こう断言します。小林氏は2018年にオルビスの社長に就任すると、「LTV経営」を掲げ、経営指標にLTVを据えた全社的な構造改革を実行しました。もちろん小林氏が社長に就任する以前も、オルビスがLTVを軽視していたわけではありません。しかし当時のLTVに対する捉え方は、小林氏が考えるLTVとは定義が異なっていたのです。

 実はこれは、多くの企業が抱きがちな「LTVに対する最大の誤解」とも言えます。その誤解とは、「LTVの価値に『売り上げ』を設定してしまうこと」と、デジタルマーケティング支援のRepro(東京・渋谷)の中澤伸也CMO(最高マーケティング責任者)は指摘します。

 なぜ売り上げをLTVの価値として設定するのが誤りなのでしょうか? 今回の日経クロストレンド・カレッジでは、オルビスも陥った「LTVの定義の誤り」を見ていきながら、LTVの本質について解説します。同時に、企業経営者やマーケターがLTVを重視すべき理由、LTV改善のための具体策なども紹介。講師には、オルビスの小林琢磨代表取締役社長と、デジタルマーケティング支援のReproの中澤伸也CMOを迎えます。

 なお今回のセミナーはZoomでのオンライン配信ですが、10人限定で収録会場(東京・秋葉原)でリアル聴講いただけます。講師に直接質問できるほか、ちょっとしたお土産もご用意しています。詳細は申し込みページよりご覧ください!

「オルビス社長&ReproのCMOが解説 『LTV向上」3つのポイント』 10人限定で「リアル開催」にも挑戦します!
10人限定で「リアル開催」にも挑戦します!

【開催概要】
名称:日経クロストレンド・カレッジ【オンラインセミナー】
日時:2022年9月26日(月)17:00~18:30
会場:オンライン開催(Zoomを使ったWeb配信セミナーです)
料金:日経クロストレンドの有料会員およびセミナー・プラス会員は無料(追加料金なし)で受講いただけます
※有料会員以外は5000円(税込み)
詳しくはこちら

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