使い方ひとつで「宝の山」にも「宝の持ち腐れ」にもなる、膨大な自社の顧客データ。マーケティングにどのように駆使しているのか、先進企業の取り組みを追います。8月はこのほかにも、統計や解析ツールなど、マーケターにとっての「学び」の特集を数多くご用意します。

【8月の特集】

 8月は“学びの夏”と題して、「データ活用」「解析ツール」「統計入門」と多彩なテーマをご用意いたします。

 クロストレンドでも何度か取り上げた「クッキー規制」問題。この流れで、自社の顧客データへの注目度がかつてなく高まっています。“宝の山”ともいうべき自社データをどう活用するか。マーケティングの課題になっている企業も多いでしょう。

 舌鋒(ぜっぽう)鋭い連載でおなじみの、WACUL代表取締役の垣内勇威さんは、「デジタルの世界では大量のデータが毎日、簡単に蓄積されるため、とかく『このデータから何か面白いものが出てこないか』という発想に陥りがちだ」と指摘します。宝の山のはずが、目的が明確ではなければ“宝の持ち腐れ”と化してしまうのもデータです。

 パーソナライズ、OMO、ユーザー体験の向上……。先進企業は、どのようにデータを駆使し、成果を上げているのでしょうか。マーケ活用術をご紹介していきます。

“分かったふり”をしないための統計入門

 文系マーケターの多くが苦戦するのが、「統計」ではないでしょうか。マーケティングリサーチで頻出する一方で、数学の知識も必要になるため、“分かったふり”をしてスルーしてしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 この特集、実は編集委員の「ある思い」から生まれました。マーケティング分野の論文を読み解く連載「マーケティング研究のフロンティア」を立ち上げ、第一線の研究者の取材を重ねるうちに、論文中に頻発する統計を知る必要性を痛感したそうです。「取材で知った風を装い、作り笑いでごまかすのにも疲れた」と語る記者が、自らの勉強のためにも立ち上げた特集です。盛夏に贈る、文系マーケターのための統計入門、ぜひご期待ください。

マーケターの必修科目「統計」を、専門家に可能な限りかみ砕いて解説してもらう
マーケターの必修科目「統計」を、専門家に可能な限りかみ砕いて解説してもらう

 8月第1週(1日~) 

「脱クッキー」はむしろチャンス
宝の山! 顧客データのマーケ活用術

 Webブラウザーの閲覧履歴などを保存する「クッキー」利用の規制が進む中、自社の顧客データを深掘りして有効活用することが企業のマーケティング課題となっている。適切なパーソナライズによる売り上げアップ、オンラインとオフラインをまたいだ顧客体験の向上など、先進企業はデータ活用でどのような成果を手にしているのか。攻めの自社データ活用の秘訣に迫る。

 8月第2週(8日~) 

猶予は1年 「GA4」への乗り換え術
 Webサイト解析の定番ツール「Googleアナリティクス」が、最新版「GA4」に切り替わる。旧バージョンは2023年7月で停止するため、乗り換えまでの猶予はあと1年。従来版を利用している企業は、テストなどを含めた準備を早急に進める必要がある。GA4では機能や、分析できるデータの種類に大きな変更が加わっているため、戸惑うマーケターも多い。GA4は従来版と何が違うのか、どう乗り換え、新機能をどう活用すればいいのか。スムーズな乗り換えに必要となるノウハウをお伝えする。

 8月第3週(15日~) 

文系マーケターのための統計入門
 マーケティング調査のデータ分析や、マーケティング研究の最新情報が詰まった論文を読み解く際、避けては通れないのが「統計」の知識だ。しかし、数式やグラフがたくさん出てきたり、数学の知識が必要だったりと、特に文系マーケターの中には苦手意識を持っている人も多いだろう。逆に言えば、統計の基礎知識さえ身に付けておけば、かなり正確にマーケティング調査のプロセスや結果が理解できるようになる。この特集では大学で学生にマーケティングを指導する先生に、文系マーケターを対象として「これだけは知っておきたい」という統計の知識を、可能な限りかみ砕いて解説してもらう。

 8月第4週(22日~) 

アクセンチュア・ファミリー コンサル集団の躍進劇
 50カ国200都市以上に拠点を持ち、世界最大級のコンサルティングファームとして知られるアクセンチュア。同社で経験を積み、蓄えた知識を基に起業したり、事業会社のIT要職で活躍したりする人材が注目を集めはじめている。ソニーCIO(最高情報責任者)の樋田真氏や、化粧の口コミサイト「@cosme」を運営するアイスタイルの吉松徹郎社長はその一例。アクセンチュア出身者が下積み時代に学んだ知識や経験を、どのように現職で生かしているのか。その方法から成果を出すための仕事術を学ぶ。

 8月第5週(29日~) 

文具・雑貨 最新ヒット商品の裏側
 市場環境は厳しいながらも、絶え間なくヒット商品が生まれる文具・雑貨市場。そこには消費者のニーズを的確につかみ、プロダクトとして実現するヒントが隠れている。最新のヒット文具、ユニーク雑貨の開発事情を深掘りしながら、次の時代の消費者ニーズを読み解く。

【8月のイベント】

 8月は、2つの注目イベントをご用意いたしました。1つ目のテーマはクロストレンドでも特集した「パーパス」です。

 企業や組織、ブランドがなぜ社会に存在するのか、そこに属する社員は何のために働いているのか──。

 今、あらゆる企業がステークホルダーからこの問いを突きつけられています。日経クロストレンドが「日経ビジネスLIVE」と共同で開催する本セミナーでは、パーパスを基軸とするブランディングに取り組む2社の事例をご紹介します。

 お話しいただくのは、花王「クイックル」のブランドマネジャー、佐鳥翼氏。キリンビバレッジ「午後の紅茶」のブランドマネジャー、加藤麻里子氏。お二人は今、それぞれのブランドでパーパスを軸にしたブランディングに取り組んでいます。そのプロセスと効果、実際に取り組んだからこそ分かる難しさなどをお聞きします。

 そしてパーパスブランディングの実践に詳しいコンサルティング会社SMOの代表取締役、齊藤三希子氏を迎え、パーパスとは何か、パーパスブランディングをどのように実践するかを解説します。

「クイックル」と「午後の紅茶」の人気はなぜ続く? 花王とキリンビバレッジのブランド責任者に学ぶ「パーパス」をご紹介します
「クイックル」と「午後の紅茶」の人気はなぜ続く? 花王とキリンビバレッジのブランド責任者に学ぶ「パーパス」をご紹介します

【開催概要】
名称:日経クロストレンド・カレッジ/日経ビジネスLIVE
日時:2022年8月23日(火)19:00~20:30
会場:オンライン開催(Zoomを使ったWeb配信セミナーです)
価格:日経クロストレンドの有料会員およびセミナー・プラス会員、日経ビジネス電子版の有料読者は無料(追加料金なし)で受講いただけます
詳しくはこちら


 イベント2つ目は、日経デザイン主催のセミナーです。2022年8月26日に、イタリアで6月に開かれた「ミラノデザインウイーク」の状況を徹底分析する「ミラノサローネ/フォーリサローネ セミナー」を開催します。世界の最新デザインのトレンドを専門家が詳しく解説します。

 世界のデザイントレンドを見据えるうえで、欠かせないのが、世界的な見本市での情報収集です。なかでもイタリアで開かれる「ミラノデザインウイーク」は、世界中からデザイナーやビジネスパーソンが訪れ、最新のトレンド情報を収集し、自らのビジネスやデザインに応用する注目の場です。デザインのトレンドをいち早くつかみ、また海外でのブランディングを考えていくうえで、これらの海外見本市への出展・視察は欠かせません。

 先進企業がどのようなデザイン開発や海外展開へのリサーチを行い、ビジネスを進めているのか。また、出展者や見本市自体から読み取れる、これからのトレンドとは何か。セミナーでは、リサーチャー、実際に参加した経営者など多様な講演者による解説で、みなさまに世界の最新のデザイン情報をリアルに感じ取っていただきます。

2022年6月に開催されたミラノサローネの会場風景
2022年6月に開催されたミラノサローネの会場風景

【日経デザイン 特別講座】
名称:ミラノサローネ/フォーリサローネ セミナー
日時:2022年8月26日(金)13:00~17:30(予定)
会場:東京・赤坂インターシティコンファレンス
価格:日経デザイン読者/日経クロストレンド有料会員 4万5000円(税込み)、一般価格 5万9800円(税込み)
定員:80人 ※最少開催人数(40人)に満たない場合は、開催を止させていただく場合があります。
主催:日経デザイン
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